Japan Cloud のコンサルティングディレクターの川上和代です。

9月にインサイドセールスアカデミーのプレイベントをオンラインで開催しました。そのパネルセッションの様子をレポートします。

#Day0のメインプログラムは、外資系の注目SaaS企業や国産有力B2Bテック企業で大活躍している3人の外部スピーカーを迎えたパネルディスカッション。Japan Cloudの関連会社であるCoupa株式会社で代表取締役社長を務める小関貴志さん(Japan Cloudのパートナーも兼務)がモデレーターを務めました。ちなみに小関さんはトレーニング講座の講師も担当しています。

パネリストのお三方は、いずれもキャリアの中でインサイドセールス部門の立ち上げを経験されています。インサイドセールスの経験をキャリアパスの構築にどう生かすことができるのか、さらにはインサイドセールスという職種そのものの可能性についてなど、実体験を踏まえた示唆に富むメッセージが盛りだくさんのイベントになりました。この記事では#Day0のレポートを通して、その貴重な知見をシェアします。

テック業界をはじめ多様な業種業態で採用が拡大しているインサイドセールスですが、直接そうした業務に携わる方はもちろん、漠然と興味を持っているという方にとっても広く参考にしていただける内容です。ぜひ最後までご覧ください!


Japan Cloud関連会社間には知見やノウハウを共有する環境が

オープニングでは、Japan Cloud パートナー 兼 Japan Cloud Consulting 代表取締役社長の福田康隆がJapan Cloudの概要を説明。前身と言えるSunBridgeがセールスフォース・ジャパンの設立と日本法人の立ち上げ・拡大を支援したことなどに触れつつ、クラウドの市場をつくってきた有力なSaaSの日本進出を長年支援してきた実績を紹介しました。

現在のJapan Cloudも、グローバルで急成長しているB2B SaaSの日本法人11社を関連会社として支援しています。福田さんはインサイドセールスが日本でもポピュラーになってきているとした上で、Japan Cloud関連会社の現状にも言及。「日本法人の立ち上げ期に、経営層や幹部社員に近い立場でインサイドセールスを経験できる魅力的な環境があります。一方で、そうしたフェーズではリソースも少なく、相談相手もいないという課題に直面することがよくありますが、Japan Cloudは関連会社同士のノウハウの共有も活発に行っており、そこをカバーできるのが魅力です」と説明しました。

Japan Cloudは関連会社同士が知見やノウハウを共有するプラットフォームとしての環境を用意しており、この緩やかな連携が、全ての関連会社の成長につながると考えています。


会社の成長を自分のこととして実感できた……桜井さん(コンカー)

メインのプログラムであるパネルディスカッションには、株式会社コンカー マーケティング本部マーケットディベロップメント部部長の櫻井由香さん、株式会社ユーザベース コーポレート執行役員CMO兼NewsPicks Stage.事業責任者の酒居潤平さん、株式会社スマートドライブ 執行役員CROの弘中丈巳さんが登壇。小関さんのモデレートの下、それぞれのキャリアとインサイドセールスとの関わり、立ち上げ期の組織でインサイドセールスに従事する意義などについて、示唆に富むエピソードやコメントが飛び交いました。

コンカーの桜井さんは、高校卒業後にニュージーランドの大学に留学し、卒業後は現地のホテルに勤務。帰国後、日系大手ITベンダーのセキュリティエンジニアを経て、当時社員数が15人ほどの外資系企業マーカスエバンズ日本法人でインサイドセールスに3年ほど従事しました。

「日系大企業は大事に社員を育ててくれる環境があるが、裁量権を持ってさまざまなチャレンジをしてみたかった」と話す桜井さん。商談のクロージングまで電話で完結させる会社だったというマーカスエバンズで、3年ほど「修行のように働いた」そうです。

2015年には、SaaS型経費精算のパイオニア的存在であるコンカーに移籍。同社はグローバルでのプレゼンスの高さはもちろんのこと、国内市場でも8年連続トップシェアを獲得しています。

現在、桜井さんが率いるインサイドセールスチームは17人のメンバーを抱えていますが、入社当初は3人の小所帯だったといいます。「(当時のコンカーのような)ベンチャー時代を経験して、精神的なタフさが養われたと感じます。経営層の方とすごく近い位置で働けるので、会社が向かう方向性などをよく理解しながら働けて、それも楽しく、やりがいがありました」と、当時を振り返ってくれました。

当初、大企業特化で日本市場の開拓を進めたコンカーは、今や中堅企業、中小企業にも顧客基盤を拡大しています。それに伴い、企業規模ごとに最適なアプローチ方法の模索・確立とインサイドセールスの体制拡充を進めてきました。

その過程にも携わってきた桜井さんは「徐々に組織が大きくなってくると、会社の成長を自分のこととして実感できて、それも楽しいことでした。私が入社してからの7年でもすごく大きくなっています。成長フェーズに身を置けたのはとてもいい勉強になりましたね」とコメント。インサイドセールスの立ち上げ期に参画したからこそ、ビジネスパーソンとして価値ある経験が得られたと強調しました。


インサイドセールスはマーケと営業をつなぐ要……酒居さん(ユーザベース)

ユーザベースの酒居さんも、桜井さんに劣らずユニークな経歴の持ち主です。社会人としてのスタートは銀行員で、やがて独立してネット通販やWebコンサルティングを経験しました。その後、新しい体験をしたいと入社したのが名刺管理サービスを展開するスタートアップでした。酒居さんはここでインサイドセールスチームに配属されます。「まず、インサイドセールスとフィールドセールスに分業というか共業体制を構築していることに驚きました。また、初めてCRMなどを活用し、テクノロジーとデータの力でセールスしていくという経験をしたんです。すごい世界だと思いましたね」(酒居さん)

その後、リニューアルセールスチームの立ち上げやマーケティングを経験し、5年前にユーザベースに転職。ここでB2B事業向け顧客戦略プラットフォーム「FORCAS」事業の立ち上げメンバーとして参画し、マーケティングとインサイドセールスの組織を構築しました。現在ではコーポレートの執行役員CMOとしてSPEEDA・FORCAS・INITIALを含む複数事業のマーケティングを横断的に所管しています。

マーケティングの責任者として市場に向き合う際に、インサイドセールスの経験が大きく生かされていると酒居さんは強調。「第一線で顧客の皆さんと最初に会話するのがインサイドセールス。しかも1日に何十人と会話することで得られる情報量は圧倒的。膨大な顧客課題と向き合ってきた経験が今にすごく生きています」

また、組織マネジメントにおいても、インサイドセールスを経験した効能を感じているとのこと。酒居さんは「インサイドセールスはマーケとフィールドセールスをつなぐ要のポジションでもある」と指摘した上で、「レベニュープロセスをつないでいくときに何が課題になるのか、うまく連携できればどんな可能性が開けるのかなどもインサイドセールスの経験から学びました。これを肌感として理解してマーケの役割を担うことができていることは大きいです」と振り返りました。

さらに、立ち上げ期の事業に携わることの魅力についても言及し、「インサイドセールスに限らずですが、カルチャーを自分たちでつくることができるのは得難い経験です」と自身の体験から得た実感を話してくれました。


チーム全体の売る力を底上げするのがインサイドセールス……弘中さん(スマートドライブ)

一方、スマートドライブの弘中さんは、B2Bテックの領域で豊富なビジネス経験をお持ちです。営業支援などを手掛けるコンサルティング会社を経て、セールスフォース・ドットコム(現セールスフォース・ジャパン)でフィールドセールスを担当。その後、マルケト(現在はAdobeに統合)日本法人でインサイドセールスの立ち上げに携わりました。

セールスフォースではフィールドセールスを務めていたものの、マルケトには1人目のインサイドセールスとして新たな環境に飛び込みました。。マルケト時代はなんと小関さんが上司だったそうですが、パネルディスカッションではその元上司から、「給料も下がっただろうに、なぜマルケトに転職したんですか?」という直球質問が。弘中さんの回答は、インサイドセールスという機能の重要性と可能性を示唆するものでした。

「セールスフォースには当時からインサイドセールスの仕組みがあって、私はインサイドセールスからトスアップをもらう立場でした。その体験を通して、インサイドセールスがパフォーマンスを出すと、営業パーソン個人だけでなく、チームの力を大きく向上させることも可能になると感じました。自分一人が頑張って150%売るよりも、インサイドセールスのパフォーマンスを上げて営業全体の得る力を130%にしたほうが会社の成長につながるわけで、そういう仕事がしたかったんです」

マルケトでは、自分1人しか人的リソースがない中で、いかに効率よくSQL(Sales Qualified Lead、営業対応に値する確度の高いリード)を取るか、常に考えながらインサイドセールス業務のノウハウを構築していったそうです。「インサイドセールスそのものは1人でしたけど、マーケティングや営業、カスタマーサクセスチームに気軽に相談に乗ってもらったり、一緒に策を考えられる環境があったのは大きかったです」とのこと。これも立ち上げ期ならではと言えそうです。

現在はモビリティ領域のデータ活用プラットフォームを提供するスマートドライブのCROを務めており、収益の最大化をミッションとして、マーケティングからフィールドセールス、インサイドセールス、カスタマーサクセスまで広く見ておられるそうです。弘中さんも、インサイドセールス機能を立ち上げた経験が現在の仕事に大いに役立っているとコメントしました。

「市場をどう攻略するかという視点はマルケト時代にマーケティングと営業に挟まれていたからこそ体得できましたし、横の連携が密だったからこそ、インサイドセールス以外の業務も疑似体験できたので、当時を思い出しながらCROとしての業務の参考にしています。結果として、スマートドライブでは戦略を作る上での一次情報を集める基盤としてインサイドセールスがすごくうまく作用しています」


インサイドセールスのキャリアパスに悩む方へ

パネルディスカッション終了後は「Q&A」コーナーに移り、参加者の皆さんから想定以上に多くの質問をいただきました。「インサイドセールスとしてエキスパートを目指すのか、営業やマーケティングに職位転換するのか迷っています。今後のキャリアを考える際にどのような観点を大事にすればいいですか?」という質問は、パネリストの皆さんもチームメンバーから類似の相談を受けることが多かったようで、回答にも特に熱が入りました。それぞれご紹介します。

「以前はインサイドセールスがフィールドセールスや他部門へのステップと位置付けられていることも多かったですが、そういう状況もだいぶ変わってきています。インサイドセールスのエキスパートとして価値を高めて、その延長上で経営に携わるというパターンもSaaS企業などではよくあるので、それも楽しいんじゃないでしょうか」(ユーザベース 酒居さん)

「コンカーでは自分を知るという取り組みを重視しています。『ストレングスファインダー』という強みの診断ツールを使って、自分にどういう志向や才能があるのか、メンバーそれぞれに改めて把握してもらっています。例えば達成欲がすごく強い方なら営業職に行ってインセンティブを稼ぐことがモチベーションになりますし、人間関係構築力とか戦略性に優れている方ならマーケティングが向いているかもしれません。こうした診断の結果を基に最適なキャリアを考えるのも一つの方法です」(コンカー 桜井さん)

「インサイドセールスとしてエキスパートを目指すなら、一度は営業やマーケティング部署を体験されるといいです。そこからインサイドセールスに戻ってくるとガラッと見える景色が変わります。いろいろなことを経験されて、最終的にインサイドセールスとしてのエキスパートを目指すということでもいいし、やってみたら営業のほうが面白いとなるかもしれない。それはそれでいいキャリアになると思います」(小関さん)

全プログラム終了後は小関さんが全体を総括し、「外資系、日本の会社に限らず、立ち上げ期の会社で得られることの大きさを感じていただけたらうれしいです。Q&Aで質問いただいたようなことも、Japan Cloud関連会社のような立ち上げ期の会社での業務を経験すると、机上の理論から、ご自身の経験に基づいた理論へと進化していきます」とコメント。立ち上げ期のJapan Cloud関連会社でインサイドセールスにジョインしてくれる方を改めて歓迎し、イベントを締めくくりました。

全プログラム終了後は小関さんが全体を総括し、「外資系、日本の会社に限らず、立ち上げ期の会社で得られることの大きさを感じていただけたらうれしいです。Q&Aで質問いただいたようなことも、Japan Cloud関連会社のような立ち上げ期の会社での業務を経験すると、机上の理論から、ご自身の経験に基づいた理論へと進化していきます」とコメント。立ち上げ期のJapan Cloud関連会社でインサイドセールスにジョインしてくれる方を改めて歓迎し、イベントを締めくくりました。