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イベントレポート

SaaS × レベニュー組織戦略 – イベントレポート(前編)

著者:鶴原 鉄兵

THE MODEL著者に聞く「レベニュー組織戦略」とは

こんにちは。Japan Cloudの鶴原です。昨年12月12日に、ユーザベース様主催で『SaaS × レベニュー組織戦略- 事業収益を最大化させる新・THE MODEL実践-』というオフラインの座談会イベントを実施しました。ここにはFORCAS事業の田口CEOや弊社代表の福田に加え、同じJapan CloudグループであるXactly 福眞社長や、Gainsight 絹村社長もスピーカーとして参加しました。

当日は応募総数100名強が集まる盛況なイベントになったのですが、ここに参加できなかった方からの数多くのご要望を受け、2月20日に同内容の座談会をオンラインで開催する運びとなりました。

https://www.forcas.com/event/0273-seminar/

このオンラインイベントも約2,000名のお申込みをいただき、大変好評だったこともあり、12月・2月で話された内容のエッセンスをギュッとブログコンテンツにまとめてみました。内容盛り沢山だったので前後編の2回に分かれますが、ご興味ある方は是非ご一読下さい。

まず、第一部として ”THE MODEL著者に聞く、「レベニュー組織戦略」とは” というタイトルで、福田がプレゼンを実施しました。


レベニュー組織とは?

「レベニュー」というと外資特有の横文字単語と思われてしまうかもしれない。しかし、私たちが関わっているSaaS業界においては、一般的な「売上」を示しているわけではなく、日本語にするのが少し難しい概念。

過去において、売上=営業の新規受注であった。しかし、SaaSのようなモデルが出てくると、売上に占める新規の割合は減り、既存顧客からの契約更新やアップ/クロスセルの比率が大きくなっていく。すると売上を管理するためには営業だけでなく、売った後のカスタマーサクセスや、これに加えて営業の手前のマーケティング・インサイドセールスのプロセスも見ていく必要が出てきた。これらを一気通貫したプロセスを「レベニュープロセス」と言ったり、その管理を「レベニューマネジメント」と言ったりしている。

こうした流れの中で各プロセスのKPIが明確化され、分業が進んだ。しかし、分業が進むとサイロになり、社内でのコンフリクトが起きるようになる。その結果(2012~13年頃)、こうしたプロセスを一気通貫して束ねる役割として「CRO (Chief Revenue Officer) 」のような役職が出てきた。

世の中の多くの企業は、プロセスをどう分業していくのか。分業による弊害をどうマネジメントするのか、という所に目が行きがち。私にもそうした相談がよく来る。しかし、本来は実行プロセスを考える前に「戦略とリソース配分」をしっかりと考えなければならない。これが出来ていないため、以下のような弊害が散見される。

  • 獲得したリードを等しくフォローしようとする
  • エンタープライズ向けと言いつつ、商談規模はSMBと大差がない
  • インサイドセールスとカスタマーサクセスの人数が過度に多い
  • 中盤以降の商談に時間をかけ、初期ステージの見込み案件フォローを怠る
  • 翌期以降の数字の積上げよりも、目の前の数字を優先する
  • 会いやすい既存顧客へ足を運び、新規発掘に時間を割かない
  • 今の売上構成に合わせてリソース配分し、将来の成長分野への投資を怠る

リソース配分を考えるためのステップ

『THE MODEL』は分業の本と捉えられがちだが、実際はリソース配分をテーマにした本。私自身、「経営=リソース配分」と捉えている。

「分業ありき」で考えると、どうしてもどの部署に何人配置するか?という視点で考えてしまう。しかし、以下のようなステップでリソース配分を考えていくことが重要。

  1. 全てのプロセスを営業一人だけでやった場合にどうなるか?を想像する
    (一人で全てカバーできれば、それがある種の理想形だが現実はそうはいかない)
  2. 全体のファネルを見渡した時、どこが一番手薄になっているか?
  3. 他への悪影響を最小化しつつ、手薄なところをカバーする方法は何か?
    (カバーするのは人か?ITか?人の場合はどういう能力を持った人が適任か?)

ここが実は私が『THE MODEL』の中で伝えたかった根幹部分。


GTM戦略とは?

GTM (Go-To-Market) 戦略とは、「中長期で獲得すべき市場を定義し、どこから、どのような順番で攻略していくかを決めること」と私は定義している。

売上100億円を目指すにも、5,000万円の商談を200社受注するのか、100万円の商談で1万社の受注を目指すのか、その中間を狙うか?など様々なルートがあり得る。どのルートを辿るかによって、組織の体制も変わってくるはず。

多くの会社がファネル型で数多くのリードを獲得し、そこに対してフォローするインバウンド型アプローチを志向しがちだが、このアプローチは長くは続かない。また、どうしても本来のターゲット顧客ではないが、金額が大きそうな案件に飛びつくような弊害も起きる。

「営業を科学する」と言うが、これは営業トークを磨いたり、プロセス管理をすることではない。どこに、どれだけの人を配置するか?というテリトリ設計の話だと捉えている。業種・地域・企業規模・購買傾向・過去の商談生成の状況など、さまざまな変数を考慮し、どこに、どれだけのリソース配分をするか、が一番科学すべきポイント。

この考え方に立脚すると、まず出発点は顧客DBの構築と、ICP (Ideal Customer Profile) = 理想的な顧客プロファイルを決めること。ここが出発点。そこから逆算して活動を決めていくことになる。この点では田口さんが率いているFORCASは非常に良いツール。


レベニュー戦略の第一歩はICPの設計から

出発点は「ICPの設計」という話をしたが、レベニュー戦略には5つのステップがある。出発点は「ICPの設計」。その後に「デマンドジェネレーション」。ターゲットに、どのようなメッセージで訴求し認知を上げていくのか?どうリードを獲得していくのか?という部分。

次に来るのが「セールスオペレーション」。ここで先ほど述べたテリトリー設計や報奨設計、人員配置、営業のカルチャーや採用などが含まれる。

その後、「カスタマーサクセス」のプロセスでCSM部門の顧客カバレッジ体制や役割分担を定義し、最後にプロセス全体をチェック・管理していくための「マネジメントシステム」づくり、という順番になる。

本日はこの主要プロセスを埋めていくソリューションを提供している各社の事業責任者が集まっている。第二部では、FORCAS事業CEOの田口さん、Xactly社長の福眞さん、Gainsight社長の絹村さんを交えて、このプロセス全体を一気通貫でみることの重要性や、「収益最大化」に向けて重要なポイントについてお話を伺っていきたい。

後編はこちら

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