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イベントレポート

富士通版 THE MODEL 構築に向けて 〜富士通デジタルセールス部門のオフサイトに参加〜

著者:鶴原 鉄兵
富士通版 THE MODEL 構築に向けて集合写真

富士通デジタルセールス統括部のオフサイトに参加

皆さん、こんにちはJapan Cloudの鶴原です。

昨年12月某日、富士通グローバルマーケティング本部デジタルセールス統括部の友廣さんにお声がけいただき、弊社代表の福田が同部門オフサイトに登壇いたしました。

「日系大企業でもTHE MODELは通用するのか?」という論点の座談会で、多くの読者にとっても興味のある内容のお話かと思います。今回はその様子をレポートします。

友廣さんは私のマイクロソフト時代の同僚でして、マイクロソフトの後、SAPでマーケティングやインサイドセールスの立ち上げを経た後、富士通でデジタルセールス部門を率いておられます。約2年で3名だったメンバーが約50名へ拡大されたそうで、組織文化の違いもかなりあるだろう中、昔の仲間がこうして活躍されていることにとても刺激を受けました。

当日は同部門の月一度のオフサイト日で、会場40名、オンライン20名の約60名が参加され、とても活気にあふれていました。以下、友廣さんからの問いかけに福田が回答する形での座談会の様子をお届けします。


先発完投型の営業組織にTHE MODELは馴染むのか?
富士通の営業は典型的な先発完投型。分業に対する猜疑心がある。改めてTHE MODELの意義について伺いたい。

もちろん一人で全てのプロセスを完結できる方が良い。しかし、規模が大きくなるにつれて一人でできることには限界がある。いつか必ず漏れ・抜けやウィークポイントが出てくる。その穴がどこか?をまず知る必要がある。

そして、その穴を人で埋めるのか?テクノロジーで埋めるのか?判断が必要。よくあるケースは、やることが増えて皆が多忙になり、人手で埋めようとするパターン。人はマシンではないから当然得手不得手があるし、能力も一定ではない。テクノロジーの活用で埋められるケースも実は多い。

人で穴を埋める際、どこで役割を区切るのか、という判断も重要になる。そこでプロセス上のボトルネックを発見する事が重要になり、そのためのアプローチが「THE MODEL」の本来の考え方。そのような思考アプローチをSaaS企業におけるマーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスという分業スタイルがどのように産まれたかを例に説明したものだが、多くの人は順番を取り違えている。自社のプロセスと役割分担ができたらJOB型という形で役割分担をする。「分業」と聞くとどうしても「サイロ」など、ネガティブなイメージを持たれがちだが、英語ではSpecialization(専門化)と言い、もっとポジティブなイメージ。


「複数商材」や「人」が売り物でもTHE MODELは適用できる?

富士通の売り物は単一商材ではないし、SaaSでもない。売っているのは、いわば「人」。よってTHE MODELはフィットしない、という声も社内で耳にする。ここはどう思うか?


会社や商材によって業務プロセスは異なる。なので、マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスという役割分担自体が富士通さんに当てはまるかは分からない。しかし、単一商材か複数商材か、という点は余り関係ないと思う。

何かを「売る」ことを考えた場合、4つの「不」を解消する必要がある。不信・不要・不適・不急。これを一つひとつ解消していくプロセスは必ず必要になるし、それをベースに分業体制を考えることは可能ではないか。逆に「一人で全てをカバーすることが現実的なのか」と問いかけをしてみる事。


インサイドセールスの存在意義は?
富士通でもデジタルセールス(インサイドセールス)が立ち上がって2年が経ち、組織も急拡大している。しかし、富士通においては営業こそが花形で、インサイドセールスに強い存在意義を感じられていないメンバーもいる。改めてインサイドセールスの意義とは?

以下、3つの意義があると思う。

1) お客様の「インサイト」獲得

米国勤務の時代に初めて現地のインサイドセールスチームを見ていて感じたのは、「お客様のインサイトを最も得られる部門だな」という点。

従来型の営業であれば、担当顧客が決まっていたり、一日あたりの訪問件数も数件が限界。一方、インサイドセールスははるかに多くの会社・部門の方と会話ができる。そこから得られる「知見」は何ものにも代えられない会社の財産。さらにマーケティングオートメーションが導入されていれば、事前に属性だけでなく行動情報も把握した状態で、的を絞った会話をする事で闇雲なアプローチでなく生産的な会話ができる。


2) 会社の「顔」

見込顧客が最初に接する相手がインサイドセールスになる。それゆえ、その会社の第一印象はインサイドセールスによって決まると言っても過言ではない。

これはマルケト時代にもインサイドセールスに口酸っぱく言っていた。「会社の顔」として、一人ひとりの話し方、立ち振る舞いが非常に重要。


3) お客様にとっての「メリット」

インサイドセールスはお客様にとってもメリットが大きい。自分が客の立場になってみると分かるが、お客様は営業が足しげく来訪することを決して望んではいない。

適切なタイミングで、コンパクトに欲しい情報を、短時間で提供してくれるインサイドセールスは、お客様にとっても「ありがたい」存在。「訪問すること」がお客様にとって一番メリットがあるわけではない。

3点目の「リアルに来られると迷惑」という点は納得。一方で「電話=押し売り」と思われる傾向もあると思うが、ここはどう考えられているか?


確かに全く購入意思がなかったり、検討もしていない商材の売込みが電話できたらうっとうしい。

だからこそ、いつどの企業にどのような情報をもってコンタクトすべきかをデータを活用してアプローチする事が必要になる。

先日米国のセールスイネーブルメント関連の人と会話したが、米国では一気にオフィス回帰の流れが強まっている。社員同士の対面でのコミュニケーションを重視しているからだが、営業に対しては「オフィスに来ないでくれ=オンラインで済ませてくれ」という要望が根強いようだ。そこで「デジタルセールスへの移行」が大きなトレンドになっている。

これは単にリモート会議のツールを活用した営業活動というだけではなく、ミーティング後の資料提供も動画形式で共有したり、顧客内で誰に共有されたかをトラッキングできるようにするなど、デジタルの特長を活用した営業手法。この流れは日本も同じではないか。その点で富士通のデジタルセールスチームには大きな可能性があると感じる。


外資と日系の違いは?
自分自身は外資の後、日系企業に入り、いろいろな違いを感じている。ここは福田さんから見てどう考えられているか?


日系の方と話していると、外資に対して「人・モノ・金のリソースが潤沢にある」という印象を持たれている方が多い気がする。しかし、実際にはリソース配分については厳しくレビューが行われる。しかし「リソースが限られる」という制約があることが重要だ。

人間は制約があって、はじめて工夫するようになる。私は「経営=リソース配分」と捉えている。今、ちょうどJapan Cloudの各ポートフォリオ企業は来年度のプランニングが始まっているタイミングなのだが、制約がある中、どういうリソース配分をするのが最適か?何をやるべきか、やらないべきかというトレードオフを突き詰めて考えている。

米国のSaaS企業は少し前まで、好況を背景にこの規律が欠落している企業が多かった。制約が無くなると人は考えなくなってしまい、会社は成長することができない。

日系の方のお話を聞くと、売上構成比の大きな既存アカウントに多くの人数を割り当てる一方で、新規事業にはあまり人を割り当てない、新卒に実験的に担当させてみるなどの話をよく聞く。

しかし、既に関係性のできている大型既存顧客には、そこまでリソースを割かなくても良いのではないか。むしろ将来の成長領域である新規事業を立ち上げるためには、一時的にでもトップ級の人材に任せるべきではなどリソース配分について再考する余地があるのではないかと感じる事も多い。

💡
これは耳が痛い。古今東西、営業は既に関係構築できている行きやすい所に行ってしまう。だからこそ、新規に特化したインサイドは重要。ここも自分達の存在価値だと思う。

最後に 〜チームへのメッセージ
この2年間、チームメンバー皆、走り続けてきた。正直、変革疲れもある。何か背中を押してくれるようなメッセージをいただけないか。


私は「Journey is the reward」という言葉が好き。物事を変えるのには時間がかかるが、その過程を経験することこそが財産になる。花開く瞬間に立ち会うのも素晴らしいが、その前の積み重ねがなければ花は開かないと思えば、その積み重ねをする人だけが真の達成感を味わえるとも言える。

ちょうどサッカーのW杯が盛り上がっているが、私がはじめて見たサッカーW杯は86年メキシコ。当時の日本はベスト8どころか出場自体「出られるわけない」と思われていた。野茂がメジャーリーグに挑戦した時も同様。しかし、今は大谷翔平がメジャーを席巻している。

変革・改革をする最初のメンバーは限られる。皆さんはまさにその当事者。プロセスができた後に入ってくる人は、できあがったものを享受する人たち。プロセスを作っていける経験は貴重。それを楽しんで下さい。

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