明けましておめでとうございます。2022年の後半から、コロナで大きな打撃を受けた外食、旅行などの業界ではコロナ前の状況に戻りつつあります。一方で、IT業界に目を向けると、特にSaaSについては国内外共に株価・企業価値の下落が多くの会社で見られました。また海外では年末から年始にかけて、大手企業でのレイオフがニュースとして取り上げられ、ここ十年近く続いた右肩上がりの成長から様相が一変したと感じられる方も多いのではないでしょうか。昨年末、海外から来日したある会社の経営メンバーと食事をした時に「自分たちはこのような節目を何度か経験してきているが、今の若い人たちは急成長しているフェーズしか知らないので動揺している人が多い。それだけ自分たちが年をとったという事なのかな」と話していました。

私も今年で社会人27年目を迎えることとなり、その間、景気後退という点ではドットコムバブルやリーマンショックなどいくつかの節目を経験しています。経験を積む事のメリットは短期的な事象に惑わされず、中長期的な視点で物事を考えられる点にあります。最近SaaSに関する将来性を聞かれた時には「SaaSというカテゴリがどうなるかはわからない。一口にSaaSと言っても課金形態など含めて変化し続けている。SaaSはあくまでもソフトウェアの提供形態に過ぎない。一方で企業向けソフトウェアの市場は、一時的な景気後退の影響を受けることはあっても中長期には企業の生産性向上や変革に不可欠なものであり、引き続き強い成長分野だと確信している」と答えています。私はこれまでの経験から、以下の2点をある種の法則として捉えています。

  • 物事は振り子のように動く。ある方向に大きく振れたら、必ず揺り戻しがくる。多くの人がそれが永遠に続くと信じて疑わないモードになった時が、揺り戻しがくるタイミング。
  • 一見大きなトレンドに見えても、長いスパンでみれば一過性の流行に過ぎないものがほとんどで、本当の意味でゲームのルールが変わるような変革は、変化の激しいIT業界でも15年くらいのスパンでしか起きない。

まずIT業界では一定のサイクルで統合と分散が繰り返されています。私が社会人になったころはメインフレームからクライアントサーバーへの大転換期でしたが、このようなテクノロジー面でのシフトは定期的に揺り戻しがおきます。また大手企業が買収によって巨大化・寡占化が進んでいくと、もう新規参入者には入る隙がないのではと思ってしまいますが、ある領域に特化したスタートアップがどんどん現れて、既存市場のリプレースだけではなく新しい市場を創造していきます。これは2000年代前半に企業向けソフトウェアの世界ではSAP, Oracle, IBM, Microsoftなどいくつかのベンダーが買収統合を繰り返し「もうこれらのトップベンダー以外にはチャンスがない」と思われたにも関わらず、salesforce, ServiceNow, Workdayをはじめとする多くのSaaS企業が登場し、それらの会社がまた買収統合を繰り返して大きくなっているという流れを見てもわかると思います。そして同じことはまた繰り返されるはずです。

あくまでも私個人の考えですが、これから数年の間に、今主力となるプレーヤーを将来凌駕するような新しい勢力が次々と誕生する時代を迎えることになると予想します。2023年は改めて海外への渡航回数も増やし、アンテナを張ってこれから起きる波を捉えていきたいと思います。ただしJapan Cloudに求められる役割は「次の何か」を見つける事だけではありません。それを正しく日本に伝えて、正しく普及させるための人材や仕組みを提供する事です。どんなに優秀な人を集めても、テクノロジーや製品が優れていなければ成功を収めることはできません。一方でせっかく素晴らしい製品があったとしても、優秀な人材や仕組み、経営がなければ失敗してしまいます。私たちJapan Cloudは次を担う人材の採用と育成に加えてオペレーションをより高度化させていき、次の世代へそれを伝えていく仕事に取り組んでいきたいと思います。

引き続きJapan Cloudと関連各社の動向にご注目ください。

Japan Cloud 福田康隆