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キャリア

外資SaaSマーケターというキャリア

著者:鶴原 鉄兵
⼤企業でマーケ経験がそれなりにあった⾃分が呆然とした話

皆さんがもし外資スタートアップの⼀⼈⽬のマーケターとして⼊社したら、まず何から⼿を付けますか?

私は東芝で5年、マイクロソフトで5年のマーケティング実務経験があります。加えてアクセンチュアやマルケトでもマーケティング部⾨に対するコンサルティングを5年。通算すると15年近く、マーケティングに関連する仕事をしてきました。⾃分でもここが専⾨領域という⾃負がありました。

しかし、恥ずかしいことに東京オフィスを開設したばかりのWalkMe社に、⼀⼈⽬マーケターとして⼊った当初、呆然としてしまいました。余りにもやることが多く「なにから始めよう…」と思考停⽌してしまったのです。

⼤企業でマーケティングを担当していると役割がサイロ化し、全体像が⾒えないことが結構あります。参考までにマイクロソフトでは、プロダクトマーケ、セントラルマーケ(デジタル系)、マーコム(PR系)、パートナーマーケ、フィールドマーケなど、部署が細かく分かれていました。また、マーケティング担当にとって「命の⽔」であるマーケティング予算についても、全体像を把握している⼈はごく僅かでした。皆、⾃分の担当領域でどれだけ予算確保するかに躍起になり、私も含め、全体最適の視点を持っている⼈は⽇本にほとんどいなかった気がします。

また、施策について、実施すべきことを箇条書きで整理できても、それをどういう順番でこなしていくべきか?ゼロベースで考えると意外と難しいのです。⼀橋⼤学の楠⽊健教授も「三流は箇条書きでまとめ、⼆流は優先順位を付け、⼀流はストーリーを組み⽴てる」といったことを⾔及されていました。私⾃⾝、「どうストーリーを組み⽴てるのか?」に呆然としたのです。

怒濤の思考錯誤プロセスを経験

WalkMe参画後、「何から⼿を付けよう?」と悩みつつ、先⼈の経験を聞き、⾊々なことに⼿を出し、思考錯誤しながら怒濤の8ヶ⽉間を過ごしました。

ここでの経験を他社の⽴上げでも活かすことを前提にしていたため、期間中の活動内容はすべて記録を残していました。今、この記録を振り返り、整理して体系化し、WalkMe後に⽀援しているApptioやブラックラインでの活動に活かしています。

「怒濤の試⾏錯誤」は⼤変ではあったものの、明らかに⾃⾝のケイパビリティを広げてくれた実感があります。このプロセスは今も継続中で、「外資SaaSマーケター」としての濃密な⽴上げ経験が、⾃⾝の能⼒やキャリアの基盤になってきていると思います。

ということで、以下からは「外資SaaSマーケター」がいかに⾯⽩く、皆さんのキャリアにとってプラスになるか、少し宣伝させて下さい。

⼤企業 or スタートアップ?

私は前職のマルケトに⼊社するまでは、所謂、⼤企業でキャリアを積んできました。⾃分で⾔うのも何ですが、レジメだけ⾒た場合、社会的にはそれなりに綺麗な(いけ好かない)キャリアだったと思います。しかし、30代後半から急に不安になりはじめました。「このままで良いのかな?」と。

外資企業にいると、同じ仕事を⻑く続けている⼈は「チャレンジしていない」「できて当然」というレッテルを貼られます。

また、上司や部下との「1 on 1」がしょっちゅう⾏われ、⾃⾝のキャリアを考える機会も多い。社員分布は50代を超えると⼀気に減り、60代など皆無です。「このままここで働き続けて、⾃分は何ができるようになるんだろう?どんな事で企業や社会に貢献ができるんだろう?」と⾃問する⽇々でした。

「お⾦」という点だけを考えたら、なるべく⼤企業に⻑く勤務する⽅が経済合理性があります。しかし、⼈間は歳を取るほどにチャレンジに及び腰になります。同じようなロールで似たような会社を転々とし、⾃⾝のラーニングカーブは横ばいが続く。そんな未来は楽しくないな、と思い⾄り、40代前半の時、まだ社員数60名前後だったマルケトへの転職を決断しました。

私と共にマイクロソフトでマーケティングを担当していた萩原さん(現LINE WORKS)も、40代に⼊ってからスタートアップに移られ、今は同社の役員として⼤活躍されています。彼の書いている note の投稿、私も⾮常に共感したので、転載させていただきます(本⼈の同意を得てます)。

https://note.com/masa_hagiwara/n/nbd176b104e7d

⼤企業では当たり前のように回している様々な「仕組み」も、⽴上げの中で⾃ら構築していくことで、そのメカニズムをしみじみと理解しつつある感覚があります。私の現在の上司である福⽥も著書『THE MODEL』の冒頭に「成功モデルを作り上げる過程に関わっていた⼈と、できあがった後に関わった⼈の間には⼤きな隔たりがある」と記述しています。この感覚は⼤企業からスタートアップに移り、プロセスを構築していく中ではじめて感じている⼤きな「学び」です。

営業 or マーケター?

また、企業規模だけでなく、職種という観点で、JAPAN CLOUD の⼩関も「営業からマーケターへのキャリアエクスパンション」という連載記事を書いています。これも⾮常に興味深い論点です。私⾃⾝、マーケと営業の連携がうまく進まず、フラストレーションをため、マーケから営業に転籍した経験があり、⼩関の主張にも強く共感しています。

https://www.onemarketing.jp/lab/btobmarketing/career-expansion_217

コロナ禍でお客様との対⾯コミュニケーションが難しくなり、リモート環境下で情報収集するのが当たり前になった今⽇、各社は今まで以上にデジタル施策に舵を切っています。こうした中、他社と差がつくポイントは(マルケトの受け売りですが)「エンゲージメント」です。お客様の気持ちや⼼情を理解し、適切な⾒込客に対し、適切なメッセージを、適切なタイミングで届けられることが重要です。そして、それは対⾯でお客様との濃密なコミュニケーションを⾏ってきた営業の⽅の得意領域ではないか、そんな気がしています。

⼈⽣100年時代、幅広い知識・経験を積むことの重要性

ちょっと話が発散しましたが、何が⾔いたいかというと、「⼈⽣100年時代になり、将来、⾃⾝の実⼒で⻝っていくことを考えたら、幅広い知識・経験が重要になる」ということです。

今、外資SaaSではCRO(Chief Revenue Officer)という、マーケ・営業・カスタマーサクセスを⼀気通貫でみる担当役員の存在が当たり前になっています。分業による各部⾨の個別最適化されたオペレーションを、全体最適の観点でチューニングする役回りです。⽇系スタートアップでも、そうしたロールを設置する会社が増えています。私が在籍していたマイクロソフトでも個別最適が⾏き過ぎた結果、「他者への貢献」が評価項⽬の⼀つに加わり、より⾼く広い視点を持つことの重要性が叫ばれるようになりました。⽇本の企業でもこうした「全体最適」の視点は規模の⼤⼩に関わらず、重要になるはずです。

「マーケター」はよくオーケストラの指揮者に例えられます。広い視野でマーケットや社内の関係部⾨と対峙しなければなりません。また、「SaaS」はこのご時世にあっても成⻑を続けており、成熟した市場・企業に⽐べると学びの機会は多い。しかも、⽇本より何年も先を進んでいる⽶国を中⼼とした「外資」の⽇本市場での⽴上げプロセス。これらを⼀気に経験できる「外資SaaSマーケター」というキャリアは他に代えがたい、とても貴重なキャリアステップだと私⾃⾝は強く思っています。

外資SaaSマーケター養成の意義

JAPAN CLOUDはこの度、「外資SaaSマーケター養成講座」を企画しました。僣越ながら、講師を務めさせていただく予定です。今までの経験をベースに、内容を体系化してお届けしたいと思っています。同じJAPAN CLOUDで、この領域の経験豊富な⼩関や、PRスペシャリストの⼤槻にも講義を⽀援してもらう予定です。

「外資SaaSマーケター」と⾔った瞬間、「英語が苦⼿だから…」「領域が広くて⼤変そう…」「⽴上げって⾟そう…」と尻込みされる⽅を、今までに何⼈も⾒てきました。実⼒があるのに、チャレンジを躊躇している⼈を⾒ると、⾮常にもどかしく感じます。

今後、JAPAN CLOUDとしても外資SaaSの更なる⽇本⽴ち上げを⾏っていく予定でして、この領域の採⽤は増えます。また、JAPAN CLOUDの外においても、外資SaaSマーケター経験のある⽅は、⽇系/外資、⼤企業/スタートアップ問わず、強く求められます。しかも、上述した通り、「特定領域のスペシャリスト」よりも、CROのように「全体を⾒渡せることのできるゼネラリスト」的マーケターの⽅が希少価値が⾼く、市場ニーズは⾼いと思います。

まず、外資SaaSマーケターを将来の選択肢に

マーケティングのセオリーでもありますが、いきなり講座を「受講」していただくのではなく、正しく「認知」し、「興味」を持ってもらうことが重要です。ということで講座に先⽴ち、「外資SaaSマーケターのキャリア」というWebinarを 9⽉7⽇16:00-17:30 に開催予定です。

このWebinarには、コンカー社の柿野さん、キリバ社の⼤徳さん、前述した元マルケトでの⽴上げ経験のある⼩関が登壇予定です。皆、⼤企業でマーケティング実務を経験した後、外資SaaSマーケターとして⽴上げを実現している⼤先輩です。座談会形式で外資SaaSマーケターとしてのキャリアについて討議する予定で、今からとても楽しみです。

現マーケターの⽅は勿論、マーケティングに興味がある営業や関連部⾨の⽅。そして、企業規模や外資/⽇系を問わず、マーケティング界隈の⽅々にとって将来のキャリアを考える、とても有意義な場になるのではないかと期待しています。詳細は以下URLをご確認の上、是⾮、参加のご登録をお願いします。

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