外資系B2B SaaSエグゼクティブ対談

ブームだからこそ、インサイドセールスリーダーに求められる3つの役割(前編)

JAPAN CLOUDでは、2020年12月から全4回の計画で「外資系 B2B SaaS インサイドセールスリーダー講座」を実施しています。コロナ禍でお客様への訪問が制限される中、インサイドセールスという役割への会社からの期待が大きくなるからこそ、リーダーを目指す人たちには新しい視点・視座を持つことが必要です。そのきっかけを作るため、私たちはマーケター向け講座に続き、インサイドセールスを対象とする講座を立ち上げました。この記事は開講に先立ち11月16日に行われたプレイベントの前半の内容をまとめたものになります。

講座のプログラムや講師の略歴は公式サイトをご覧ください。

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目次

外資系B2B SaaSエグゼクティブ対談:ブームだからこそ、インサイドセールスリーダーに求められる3つの役割(前編)

  1. インサイドセールスリーダーに求められる3つの役割
  2. リアルからデジタルにシフトした接触機会
  3. 対面と同じではないデジタルにシフトしたお客様とのコミュニケーション
     

外資系B2B SaaSエグゼクティブ対談:インサイドセールスリーダーはどう変化に適応するべきか(後編)

  1. リレーのバトンパスに似ている?リードの渡し方
  2. 受注確度を高める自社の戦略とお客様のビジネスの理解
  3. お客様との信頼関係を貯めることが求められるインサイドセールス
インサイドセールスリーダーに求められる3つの役割

第1部では福田康隆(ジャパン・クラウド・コンサルティング CEO、JAPAN CLOUD パートナー)が登壇し、外資系 B2B SaaSの社長がインサイドセールスの重要性とリーダーに期待することについて語りました。

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今回の講師を務める小関と福田の出会いは、2007年のセールスフォース・ドットコム時代に遡ります。当時、福田はインサイドセールスと営業の両方を見ていたのですが、人数が増えてきたことを機にインサイドセールス専任のマネージャーとして新しく採用したのが小関でした。インサイドセールスはどちらかと言うと社会人経験の浅い人が最初に就く仕事です。会社や製品だけでなく、仕事に向き合う姿勢や取り組み方など、人間教育にまで踏み込み、コーチや先生の役割を果たせる人がインサイドセールスのリーダーに育成には求められます。

社長がインサイドセールスに期待することとして、福田は以下の3つを挙げました。

1. 会社のブランド作り

インサイドセールスはお客様との接点を最初に持つ役割ですから、会社を体現する存在になってほしい。お客様がこの人から買いたいと思うのは、インサイドセールスが持つ自社の製品に関する愛着が伝わるからです。一部には、「自分の質問に答えるのは当然」という姿勢でお客様にアプローチするインサイドセールスもいるようですが、それでは後から営業がフォローしようにも関係をうまく作れません。会社の価値観が伝わる仕事であることを意識することが求められます。

2. 人材のインキュベーション

インサイドセールスは若い人の多い職種です。インサイドセールスから社会人としてのキャリアを始め、営業などの他の部署に巣立っていきます。そうやってその会社のカルチャーが形成される以上、インサイドセールスのリーダーにはメンバーへの人間教育を提供することが求められます。福田が米セールスフォース・ドットコム本社で勤務していた頃、マーク・ベニオフ氏は社内を周ってインサイドセールスのメンバーたちに「君たちは会社の未来」と伝えていたことを覚えているそうです。

3. パイプライン作り

多くの会社がパイプラインの中の案件が足りないという問題を抱えています。マーケティングに力を入れてもそのままではパイプラインはできません。パイプライン創出を担うとすると、やはりインサイドセールスでしょう。インサイドセールスは、案件を創るという意味でSDR(Sales Development Representative)と呼ぶべき大事な仕事です。営業はクロージングを得意としていますが、案件発掘からパイプラインを創ることが好きな人はおそらく少ないでしょう。パイプラインを創らなければ売上は達成できません。言い換えると、パイプライン創出に特化したスキルを身に付ければ、その人にとって大きな武器になります。​

ここ2・3年、インサイドセールスの存在が認知され、お客様とのコミュニケーションが容易になったと考えているかもしれませんが、そんな環境だからこそお客様がどんな情報を求めているかを念頭に置いたコミュニケーションが求められているのです。

リアルからデジタルにシフトした接触機会

第2部のパネルディスカッションは、ゲストに伊田聡輔氏(HubSpot Japan 共同事業責任者 セールス ディレクター)と弘中丈巳氏(株式会社スマートドライブ チーフ・レベニュー・オフィサー)の2人を迎え、ディスカッションを行いました、聞き手は、講座で講師を務める小関貴志(ジャパン・クラウド・コンサルティング SENIOR DIRECTOR OF CONSULTING)です。

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小関

今回のゲストのお二人はインサイドセールスの経験者でもあり営業やマーケティングの部門長としてのご経験もお持ちです。現在は経営にも関わっていますから、いろいろな話を聞けると期待しています。最初のテーマ「昨今、企業の購買スタイルはどう変化したか?」から伺いたいと思います。伊田さんは海外の動きもよく知る立場にありますよね。お客様の購買スタイルの変化をどう見ていますか。

伊田

お客様が営業と話すときの予備知識の量が格段に増えたと感じます。例えば、僕の父の世代が車を買おうとしたら、新車の情報をもらうためにいきなりディーラーを訪問したでしょう。ディーラーの営業から見ると、父は何の知識もないまま来るので、自分のペースで情報を提供して車を買ってもらうことができた。でも今は違います。車のような高額の買い物をする時は、買う側も事前によく調べてから売り手にリーチしてきます、これは車のようなコンシューマー製品だけではなく、HubSpotのようなB2Bのビジネスでも同じです。さらに、今は緊急事態宣言の影響があり、対面で話をする機会が制限されています。私たちの調査結果からも、営業の訪問機会が減るだけでなく、電話してもつながらない。その一方でWebサイトのトラフィックやチャットでのコミュニケーションが増えていることがわかっています。売り手からすると、営業電話がつながらないのにお客様側は情報収集をやめていないわけで、つまりお客様が自分で情報収集をするようになった傾向がコロナで加速した側面があると思います。

小関

企業側からみると、お客様にアプローチしても会ってもらえない、リードが増えているのに営業活動がうまくいかないという現象が起きているようですが、お客様が求める企業との接点のかたちが変化してきているということですね。弘中さんは現状をどう見ていますか。

弘中

大まかには伊田さんと同じです。我々のお客様はレガシー業界の企業様が多いのですが、そのような企業様においてもDXが進んでいると実感しています。オフラインのイベントはできなくなりましたが、オンラインからの問合せは増えていて、リードの獲得総数自体は変わっていません。以前から一定数いた見込みのお客様からのお問合せがリアルな接点からデジタル接点にシフトしたと考えています。とは言え、お問合せがオンラインに変わり、手軽になった分、比較検討されやすい傾向があるので、インサイドセールスが声をかけられるタイミングを掴み損ねると、選定候補から落とされるリスクもある。ポジティブな変化とネガティブな変化の両方がありますね。

対面と同じではないデジタルにシフトしたお客様とのコミュニケーション

小関

お二人とも大手のお客様とお付き合いがあると思います。緊急事態宣言当時を振り返り、私が意外に思ったのは、大手企業のお客様も在宅勤務にスムースに切り替わったことでした。大手企業向けの営業活動は、まだまだ対面が好まれると想像していましたので。そんな環境変化があった中、私が知る限り、殆どの会社でリードの数が増えています。背景にどんな事情があると思いますか。

伊田

今年になってリードの総量が増えた会社は、積極的にデジタルマーケティングを実践している会社だと思います。HubSpotの場合、リアルのセミナーよりウェビナーの方が一度に集客できるお客様の数も増えていますが、同時にWebサイトに来る人も増えていますから、対面を前提としないマーケティング活動に舵を切った会社はリードが増える傾向にあると見ています。一方で、ウェビナーやWebサイトのフォームから個人情報を入力して得たリードと、営業がイベントで話をして得たリードとの温度感は明らかに違う。インサイドセールスには温度感の上がりきっていない見込客と、どのように信頼関係を構築するかが求められていると感じます。

弘中

今の話に付け加えると、お客様に正しく情報を伝えるということを今まで以上に意識しなくてはならないと強く思います。対面の場合、10分程度でも自分たちの会社のビジョンやソリューションで実現したいことなどが伝えられますが、オンラインになるとお客様と自分たちの間にギャップができる傾向があると感じる。スマートドライブの場合、モビリティ変革という大きな課題解決と車両管理という直近の課題解決の境界が曖昧になってきており、インサイドセールスとしてはお客様のニーズを判断して、伝え直すことが必要になる場面が増えています。

小関

それは対面の10分とZoomの10分は違うということですか。

弘中

はい。伝える情報量もですが、先方が我々を受け入れる心の準備が違います。オンラインは気軽に話ができますが、対面と同じ感覚でSQL化ができると考えるのは危険だと思います。

小関

会っていただけたとしても、その重みが違うわけですね。お客様からすると、相手に訪問を許した時点である程度本気ですが、Zoomだとそこまでではない。弘中さんの話を聞いていて思ったのは、お客様の状況や期待値が変化しているということです。営業がそれを正しく理解していないと、お客様と営業、営業とインサイドセールスの温度差が大きくなってしまいそうです。

弘中

営業にとっては売れるリードが良いリードです。単純にタイミングの問題なのか、個人としての課題感と会社としての課題感のズレがあるからなのかを正しく判断しなければなりません。営業に渡せなかった理由、渡したけれども商談化しなかった理由を丁寧に見るようになりました。

伊田

リードの質が悪いのではなく、単に購買プロセスが訪問するべきステージに達していないだけかもしれませんよね。

For general inquiries, please email info@japancloud.co.jp ↗

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