こんにちは。JAPANCLOUDコンサルティングディレクター、マーケティング/GTM (Go To Market) 支援を担当している鶴原鉄兵です。
当社ではB2B Saasの分野において海外で急成長している企業とジョイントベンチャーを設立し、日本市場への進出および中長期的な成長をサポートしています。

その“仲間”である関連会社は8社(2021年10月18日現在)。継続的な経営支援の一環として、関連会社同士が組織横断で経験や知見を共有し合う場の提供にも力を入れています。
仲間同士、本音で切磋琢磨し合うその場の雰囲気を感じていただきたく、今回は関連会社向けのナレッジ共有のコミュニティについて、その一部をレポートします。
 

ユーザーグループはなぜ今必要なのか?

2021年9月、オンラインで行われたマーケティング/インサイドセールス/CSMコミュニティ向け勉強会のテーマは「ユーザーコミュニティ立上げのポイント」。講師はブラックライン株式会社マーケティング本部 本部長の大徳貴子さんです。同社は、2001年、米国で創業し、日本法人の創立は2018年10月。決算業務プロセスのデジタル化、リモート決算を実現するクラウド型決算プラットフォーム「BlackLine」を提供し、導入実績は世界130か国以上、約3600社に上ります。

近年の消費行動や価値観の多様化にコロナ禍が加わり、顧客との関係構築のスタイルに課題を抱えているケースは少なくないと思いますが、その解決法の一つに顧客同志が交流し合うユーザーコミュニティの立ち上げがあります。

大徳さんは、前職でも一貫してマーケティング責任者としてユーザーコミュニティの立ち上げ、運営に携わってきており、「導入を検討している見込みのお客様に安心感を持っていただき、ロイヤルカスタマー醸成にもつながる。継続率向上、アップセル・クロスセルにもつながるといった観点から、ユーザーコミュニティは新規顧客開拓と同様に非常に重要な活動だと考え、注力しています」と語ります。
 

形式にこだわらず、まずは始めてみることが大事

同社がユーザーコミュニティ「BlackLine Japan User Group(BJUG・ビージャグ)」を発足したのは2021年3月のこと。勉強会では、具体的な活動内容、運営法、経験を踏まえての注意点など、惜しみなく詳細にわたって知見を共有いただきました。その中でも、全体の活動を通じ、特に私が印象に残った4つのポイントに沿って、一部を解説していきます。

一つ目が「形式にこだわりすぎずに、まずは活動を始めてみること」。
「私がブラックラインに入社した2020年8月当時から、日本市場での契約数が増加したのを受け、お客様からも意見交換の場を求める声が挙がっていました。ならば、会則や組織体制といった形式より、まずはお客様同士の横のつながりの場を提供するのが第一と考え、21年2月の新社長就任を機に同年3月にキックオフしました」(大徳氏)。

初回は新社長のあいさつやユーザーグループの意義、今後の活動などを共有し、後は自己紹介セッションを展開。キックオフ後のアンケートを踏まえ、新機能説明会、ソリューションモジュールの1つに特化したタスク分科会をそれぞれ2回ずつ開催。半年を経て、21年9月末に理事、会長の承認を含め第一回目の総会を開催したといいます。
 

顧客が使いやすいコミュニケーションツールを選ぶのがポイント

二つ目は、「運営に際しては、顧客の利便性を踏まえ、コミュニケーションツールをうまく活用すること」。
これまでに開催した会の運営については、図2のような流れで、5~6週間前から概要の決定とZoomを活用した告知からスタートし、MarketoEngageでの案内メールの一斉送信、会終了後のSurveyMonkeyを使ったアンケートなど、いくつかのツールを活用しコミュニケーションをとっています。

「コミュニケーションツールは、自分たちが使いやすいものでいいと思いますが、例えばオンライン会議ツールは、お客様の間でZoomのほうが使い慣れているという声が多かったこともあり、社内で使っているツールとは別途アカウントを契約しました」(大徳さん)。

また、意見や情報の共有についてはSNSのグループ、Slack活用なども検討したものの、「お客様からSNSには抵抗感があるという意見も聞かれ、当社サービスをご利用される経理担当者の方の間ではSlackがあまり使われていないというヒアリング結果を得て、本社(グローバル)で使っている『コミュニティサイト』内に日本用のページとグループを作ってもらうことで決着しました」(大徳さん)。

英語版にはなるもののブラウザを活用すれば日本語で読めることを利用者に周知したところ、抵抗なくアクセスしてもらえるようになったとか。いずれ日本企業のユーザー数の増加に伴い、本社に日本語化をリクエストする予定だといいます。ここは利便性とスピード感のバランスをとったということだと思います。
 

顧客と一緒に考え、全社で取り組むことが大事!

前の2つのポイントと関連し、三つ目は「自分たちですべてを決めようとせずに、顧客の意見を聞くこと」。
ユーザーグループを立ち上げたはいいが、「何をやるか」は一番、頭を悩ませるところではないでしょうか。
大徳さんは、前述したように初回のキックオフ後にアンケートを実施。そこから「新機能について知りたい」「こういう分科会が欲しい」という意見を得て、その後の開催につなげています。開催方法(オンラインorリアル)、コミュニティサイトのツール選定に関しても、アンケートで顧客の意見を吸収したといいます。

ユーザーコミュニティとは、本来、ユーザー主体で推進するもの。「運営や進行についてはしっかりと伴走する必要はありますが、内容については参加者の意見を積極的に吸い上げるほうが満足度の向上にもつながると思います」(大徳さん)。

4つ目は「全社で取り組むこと」。顧客へのユーザー会の案内はメール一斉送信で行っているものの、セールスや導入チーム、サポートチームからもかぶってもいいので、積極的に告知してもらうよう働きかけ、返信がない場合のリマインドも全社総出で行っているといいます。

その他、ユーザー会の発足趣旨や社内での役割分担についても情報を共有し合い、参加者からの質疑応答に入りました。

様々な質問が飛び出し、これからユーザー会を立ち上げる予定の関連会社メンバーの皆さんにとって次につながるステップとなり、私自身も大変勉強になりました。
その後も当日、参加できかったメンバーの皆さんも含め、マーケティング/インサイドセールス/CSMコミュニティ内で、Slackなども通じ情報交換が続いています。

当社では、今後も様々なテーマでの勉強会を予定しています。組織を超えて学び合う機会が欲しい、外資系スタートアップ企業でのキャリアパスに不安があるといった方にもご参考になるようなレポートを公開していきたいと思います。次回のレポートは、引き続き大徳さんの講師による「自社イベント開催のポイント」を予定しています。ぜひチェックしてみてください。最後まで読んでくださって、ありがとうございました。