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コロナ渦によって「思っていた自分と違った」ことを知った話

著者:千葉 修司

少しずつ、少しずつ、コロナのことを忘れる時間が増えてきた気がします。
(多分に願望も含んでいると思う)

都合の良いことはどんどん忘れる自分。でも、今回のコロナとの出会いについては、忘れてはいけないことがたくさんあると思います。

はじめて報道で聞いた時、日本にウイルスが入ってきた時、緊急事態宣言が出た時、買い占めが起こると聞いた時、県外をまたいで移動はNGとなった時、2回目の宣言が出た時、変異株が出た時、終息まで2年かかると聞いた時、飲み会解禁となった時、ワクチン接種が開始された時、などなど、コロナ渦中は心を揺さぶられるタイミングがたくさんありました。

右に行くか、左に行くか、立ち止まるか、下がるか。何度も何度も判断を試されましたが、それぞれの時の自分自身の反応を振り返ると、実に大切な自分を見つめる(リフレクション)機会になったと痛感しています。

私が今回の件で、一番心に刻んでいるのは、思っていた自分と違ったこと。元来自分の強みは「変化対応力」「柔軟性」と思っていましたが、そうでもなくて、むしろ「変化に抗う因子にもなるんだ」ということを知り、嫌な気持ちになると共に、今後に活かしたいなと強く思いました。


コロナと採用面接

私は、米国を中心とした外資系IT企業を日本に誘致し、展開していく(合弁の形で日本法人を設立します)ベンチャーキャピタルで働いています。その中で採用候補者との面接をすることが多くあります。毎日2~3名の方と会話することが多いですが、いわゆるBeforeコロナは、六本木のミッドタウン内にある貸し会議室を予約して、常に対面型で面談を行っていました。

3月頃、コロナの感染が拡大してきて、私が属する組織でもリモートワークに切り替えよう、という機運が生まれました。しかし私は「面接は対面の方が良い」「対面じゃなきゃいけないのではないか」と考えて、一番最後まで会社に出社していました。そしていよいよ緊急事態宣言が出て完全リモートワークに切り替えようと社内でガイドが出て、すべての面談をZoomを用いたウェブ面談に切り替えた途端、「ああ、なんで対面にこだわっていたんだ…」となったわけです。会議室の予約も必要なければ、極端な話お互いに30分で切り上げたい場合でもそれほど失礼にならない(ご足労頂いた、となればそうはいかない)し、「(あまり本気ではないけれど)カジュアルに会ってみよう」という温度感でも面談が組めるようになりました。

そして、およそ全ての仕事がリモートでも完結できると感じていた頃、少しずつ感染が収まりだして、週に1度は出社してミーティングをしよう、となったのですが、チームMtgにおける対面の価値は大きく感じた一方で、こと面接に関していえば、会議室の調整や移動などを考えるとウェブ面談第一からは戻らぬ状態となりました。もちろん、最終面接やオファー面接など、一度は対面で会った方が良いという思いは持っています。

変化が大事、と頭でわかっていつつも、自分自身、外的要因がなければ変化できなかった現実に本当にげんなりしてしまいました。

これまたバイアスですね。。

※バイアスに関する記事はこちら


対面の価値

一方で、最近少しずつ対面でのミーティングや面談をやるようになって気付いたことがあります。それは「記憶への残り方の違い」です。Zoomで会話したものと、対面で会話した場合、後で振り返った時の記憶の残り方が大きく違う。対面の方が、しぐさや表情、強さ(場合によっては背丈などの容姿も)など、印象の強さがまるで違うと感じたことがありました。

人間は五感を使う、と言いますが、やはりそういうことなんだろうか。私なりに、「Why」を考えた時の一つの答えは「熱の伝導」です。

私は否定的でありましたが、よく言われる「プレゼンは中身は20%」は、あながち間違いではないのかもしれない、と感じました。ジェスチャー、ボティーランゲージ、声の大きさ、視線、匂いなど、人は「見た目」から多くの「熱」を感じているのかもしれません。

その昔、哲学者のアリストテレスが「人を動かすためにはロゴス(ロジック)・パトス(情熱)・エトス(倫理・信頼)」が必要といった有名な話を思い出します。

情熱というほど大げさなものではなくとも、36度を超える物質の塊である人間は、画面では伝わらない熱を常に帯びているんだな、という当たり前のことを感じました。日々日々の生活の中で、人がコミュニケーションし、何かを感じ、判断し、行動する。古今東西変わらない原理の中で、リモート環境でも大丈夫なこと、対面でないと駄目なこと。この2年ほど考えたことはなかったように思います。


不確実性の中での「判断」その背景にある「信念」「好き嫌い」

今、世界中の会社で、リモートを継続するか、オフィス出社にするか、ハイブリットか?と議論が巻き起こっています。

みなさんの会社はどうやって決めてるでしょうか?

他社のベンチマーク?社員アンケート?それとも社長の鶴の一声?

どんなプロセス、どんな結論でも良いと思うのですが、一つ感じたこと。
これが「カルチャーを作るということ」なんだろうな、ということ。
この意思決定プロセスや、結論、そして、その結果として会社に残る人、去る人。多くの働く人にとって、自分が「どこで」「誰と」「どんなスタイルで」働くかを見つめる機会になり、会社選びの大きなポイントにもなりました。それは、一人暮らしの方であれ、家族を持つ方であれ、ライフスタイルの大事な一部を定義します。オフィスに行くか、自宅か、都市か、地方か。生産性や効率性、色々な研究結果はあれど、おそよロジカルに「唯一の絶対解」は出せないでしょう。こんな時こそ、おおいに「自分の好き嫌い」に向き合い、それを大事にして、前に進むのだと思います。社長であれ、従業員であれ、一人の個として。

コロナによって「自分を知った」と書きました。きっと、会社、同僚、そしてやはり自分自身を見つめるとても良い機会になったのではないでしょうか。私にとっては耳の痛いことを、自分自身から聞かされた気分です。せっかくなので前向きに捉えて(それだけは得意笑)精進したいと思います。

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