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コミュニティで学び合う!自社開催イベントを成功させるためのポイントとは?

著者:鶴原 鉄兵

こんにちは。JAPAN CLOUDコンサルティングディレクター、マーケティング/GTM (Go To Market) 支援を担当している鶴原鉄兵です。

前回「白熱! 関連会社向けマーケティング・CSMの勉強会をレポート」に続き、私が推進する関連会社向けのナレッジ共有のコミュニティについてレポートします。

当社では、B2B SaaSの分野において海外で急成長している企業(グローバル・スタンダードなSaaSソリューション提供企業)と合弁企業を設立し、日本市場への進出および中長期的な成長をサポートしていますが、その一環として関連会社同士が組織横断で経験や知見を共有し合う場の創出に力を入れています。

なぜイベントで高い成果を出せたのか?
赤裸々な数値も飛び出し白熱!

2021年9月、オンラインで行われたマーケティング/インサイドセールス/CSMコミュニティ向け勉強会のテーマは「自社主催イベントを成功に導くポイント」。

イベントはこれから市場拡大を目指す企業にとって、知名度アップ、新たな潜在顧客(リード)獲得の最大化および導入を検討している見込み顧客の背中を押す大きなチャンスです。一方、規模が大きいだけにコンテンツやスピーカーの選定はもちろん、スポンサー企業をどう集め、メディアなどを使っていかに集客していくかなど、綿密な準備が必要となります。

講師はブラックライン株式会社マーケティング本部 本部長の大徳貴子さんです。同社は、2001年、米国で創業し、日本法人の創立は2018年10月。決算業務プロセスのデジタル化、リモート決算を実現するクラウド型決算プラットフォーム「BlackLine」を提供し、導入実績は世界130か国以上、約3600社に上ります。

同社では年次イベントとして「Beyond The Black TOKYO(以下BTB)」を開催しており、2020年の第1回に続き、第2回目を2021年8月18日~19日に行いました。

イベントテーマは「Modern Accounting Experience~デジタル決算で変わる新時代の経営管理」。その成果の一部として、「2021年のBTBでは11社のスポンサー企業様に協賛いただき、基調講演始め全16セッションを行いました。おかげ様で登録者、参加者共に前年対比で約150%、参加率も66.7%で前年対比3.4%増と目標を上回る成果を挙げることができました」と大徳さん。

その秘訣とは? 勉強会では大徳さんに加え、同じくマーケティング本部の岡上杏瑠さん、インサイドセールスの新井知沙さん、インサイドセールスを担うBDRの桑野泰輔さんにも同席いただき、リアルな数値データを踏まえた分析、アンケート結果を踏まえたフォロー体制など、かなり突っ込んだ内容を惜しみなく共有いただきました。これも関連会社の“仲間同士”ならでは、ですね。ここでは広く公開できる内容に絞り、私が印象に残った2つのポイントからそのサマリーをご紹介したいと思います。

第1回目の反省点を踏まえ、事前収録・予約配信に変更

1点目が、昨年の第1回目の経験を踏まえ、スタイルや内容をドラスティックに変更した点です。

大きな変更点としては、両者ともオンライン配信ながら、前回のライブ配信から、2021年は事前収録および予約配信に変更したことです。

「実は昨年、10分間ほどですが配信トラブルが発生した反省から、リスクヘッジとしてすべて事前収録にしました」(大徳氏)。

“オンラインあるある”の問題ではありますが、スポンサー企業や顧客企業のセッションもある中、小さなトラブルがその後の信頼関係に影響を与えかねません。

リスク軽減のためだけでなく、「イベント1か月前にすべてのセッションを収録し、開催までにアンケートの設計や、開催後に公開するセッション・レポートの準備などを進められたのもよかったですね」と振り返ります。収録・編集し終えたセッションを、開催後1か月間は、参加できなかった人も視聴できる“見逃し配信”も実施。さらなる登録者の増加にもつなげています。

それに関連し、セッションとセッションの間に休憩をとり、その間にセッションごとのアンケートを行ったのも前回からの変更点です。

休憩を入れることで視聴者の離脱が発生するリスクもあったものの、「セッションごとの参加者の満足度や評価について、基調講演の登壇者、事例講演でお話いただくお客様やスポンサーセッションを担うスポンサー企業様にフィードバックとしてお渡しし、当社としても今後に生かしたいと考え、セッションごとにアンケートを表示する構成にしました」と大徳さん。

結果は大半のセッションが5段階評価で3.8以上4.0超という高い評価を得て、さまざまな個別のコメントを登壇者に渡すことができたといいます。

イベント終了後が勝負! 事前のフォロー体制構築で見込み顧客を獲得

2つ目が、イベント開催直後の“温まった状態”で参加者・参加企業へスピード感を持ったフォローを実践するべく、フォロー体制・作業フローを事前に構築し、全社で取り組んだことが挙げられます。

イベントは無事に終了したら成功ではなく、むしろその後が勝負。

同社では事前にアンケ―ト設計および終了後のステップメール配信やフォローコールなどの育成プログラムをマーケティングとBDRで担当。終了後のフォローとして、BTBで行った事例セッションをさらに現場レベルにブレイクダウンしたフォローイベントも計画。登録者の増加につなげました。

さらに、アンケートの回答やどのセッションに参加したか、そもそも同社ソリューションのターゲットになりうるかといった観点から、数千におよぶリードの振り分けを実施。フィールドの営業チームにも入ってもらい、フォローの優先度やグループ分けを1週間で完了させ、すぐにフォローを開始することで高水準の案件化を実現したといいます。

まさに“鉄は熱いうちに打て”。2021年1月早々にプロジェクトをキックオフし、綿密に準備を進めた成果といえそうです。

集客方法は“量と質”の両軸で考えるのがポイント

大徳さんからの概要の共有が終了したところで、質問タイムに突入。自社イベント開催を控える参加企業を中心に、様々な質問が飛び出しました。ここでもその一部をサマリーという形でまとめ、ご紹介します。

――集客に当たっての自社営業チームによる告知、メール・DM、それ以外のメディア活用など、施策を成果につなげるポイントについてお考えを聞かせてください。

大徳 集客については登録者・参加者数を追う“量”と、その後、どれだけ良質のパイプラインを生みだせるかという“質”の両面からバランスを考える必要があると思います。

例えば、量を追う上ではメディアの活用が欠かせません。さらに今回は新しいリストを狙いたいという考えから、昨年の2社のリストから1社を変更し、新しいメディアを入れました。

一方、パイプラインを作っていくという観点では、自社のハウスリストを基にした告知活動に加え、当社顧客層のCFO(最高財務責任者)が加盟するネットワーク・日本CFO協会との連携が必須。量と質の両軸で考えることが重要だと思います。

メール配信については内容・タイトルを変えながら、数回に渡って継続的に実施し、CFO以外のエグゼクティブ層にもアプローチしたいという観点から、購買層が合致するビジネス誌へのDM投入なども行いました。

――具体的なアンケートの設計、方針について教えてください。

大徳 実際に担当した岡上さん、回答お願いします。

岡上 セッション終了ごとに感想を聞くものと、2日間すべてのセッション終了後、全登録者にメールでお送りするアンケートの2段階で設計しました。

各セッションのアンケートは負担にならないよう満足度と感想に絞り、当社ソリューションを紹介するセッションのみ、弊社への支援の希望の有無についてうかがっています。また、開催後の全体アンケートでも、満足度と理由、支援の要不要を設問項目に挙げ、両アンケート共に「支援の要不要」を、フォローの優先順位の判定材料としました。

全体アンケートはわざわざメールを開いて回答していただく必要がありますが、50%近い回答率を達成することができました。回答者へのセミナー資料や基調講演のスピーカーの著書プレゼントといった特典の効果もあったものと捉えています。

――基調講演の人選が集客を左右する大きな要素というお話がありました。どういうポイントで人選やトピックを決められたのでしょうか。

大徳 基調講演については、芸能人やスポーツ選手などを呼ぶようなケースもありますが、当社では参加者の属性を考慮し、ビジネス領域の新たな知見を共有いただけるような方という観点からエーザイ株式会社のCFOである柳良平さん、経営学の権威である早稲田大学の入山章栄さんのお2人にお願いし、結果、アンケートでも高評価をいただくことができました。商品や参加者の嗜好を考慮することがポイントだと思います。

クライアント企業とも協力し“ハッピーカスタマー”を醸成

その他にも、質疑応答が熱く繰り広げられ、貴重な情報の共有の場となりました。最後に、大徳さんは「イベントはマーケティングやBDRのためのものではありません。最終的な売上やブランディングにつなげていくべく、上層部ともしっかりと組んで全社で実践するとともに、クライアント企業様とも連携し、広く応援してくださるようなハッピーカスタマーを醸成していくという視点も重要だと思います」と語ってくれました。

今後も仲間同士、学び合う、切磋琢磨し合う場を積極的につくり、こちらでもレポートしていきたいと考えています。自身のキャリアに不安を持っている方や、組織を超えた横のつながりをもってステップアップしていきたいとお考えの方も、ぜひ引き続きチェックしていただければうれしいです。最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

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