リーダーシップの本質を問う2日間の幕開け - Japan Cloud Leaders Summit in Karuizawa 2025 イベントレポート①
Japan Cloud
「リーダーシップとは何か」─ 未来のビジネスリーダーに贈る問い
2025年6月12〜13日の2日間、Hotel Indigo軽井沢にて、Japan Cloudを構成する10社の社長およびビジネスリーダー30名以上が一堂に会する宿泊型イベント「Japan Cloud Leaders Summit in Karuizawa」を開催しました。
本サミットは、Japan Cloud関連会社で、日本のエンタープライズSaaS市場を牽引するトップリーダーたちが集い、それぞれの経験や知見を共有する大変貴重な機会となりました。今回から数回にわたり、その2日間にわたる議論の中から、特に注目すべきセッションの模様を詳細にお届けしていきます。IT業界で次なるリーダーを目指す皆さんにとって、日々のビジネスにおけるヒントや、社長業のリアル、そして何よりもキャリアを考える上で大きなモチベーションとなることを願っています。
開会に先立ち、参加者同士の距離を一気に縮めたのは、自然に包まれたアクティビティでした。




自然の中で“越境”がはじまる ─ リバーミッションハイキング
軽井沢駅に集合した一行がまず向かったのは、千ヶ滝。ここで実施されたのは、チーム対抗リバーミッションハイキング。4チームに分かれ、滝へと続くトレイルの途中に用意されたユニークなお題をクリアしながらゴールを目指す体験型のアクティビティです。
たとえば:
- ネイチャーハント:10種の鳥や植物を写真で撮影せよ!
- バケツリレー:滝の水を“手の平だけ”でどれだけ運べる?
- 全員で大縄跳びチャレンジ!(優勝チームは47回跳びました!)






一見シンプルながらも、チームワーク・瞬発力・発想力が問われる課題の数々。晴れ渡る空と新緑の香りに包まれながら、初対面のメンバー同士も自然と打ち解け、笑い声があちこちから響き渡る時間となりました。会社や役職の垣根を超えた“越境のマインドセット”が、サミットの本編をより深い学びの場にし、信頼関係を生み出す土壌となりました。




偉大なリーダーとは何者か── なぜ偉大と思うのか
リバーミッションとその後のランチで心と体がほぐれた後、いよいよ本編がスタート!オープニングセッション冒頭、Japan Cloud代表の福田は、こう問いかけました。
「そもそもリーダーシップに理想型はあるのでしょうか?」
「皆さんが考える理想の上司は誰ですか?どんな人ですか?」
「あなたはなぜその人を高く評価するのですか?」

福田が共有したのは、自身が2004年に受けたエグゼクティブ研修での経験です。
福田は、これらのリーダーを高く評価する理由を分析するエクササイズを通じて、自らのパーソナルな考え方として彼らの共通点を見出しました。それは、スキルやパーソナリティといった表面的なものだけではなく、以下のような本質的な特性でした。
- 自ら現場を知ろうとすること
- 徹底的に質問すること
- 率直にコミュニケーションすること
- 成功例を真似ることを躊躇しないこと
- 自由に「高度」を変えられること(戦略的な視点から詳細な戦術まで、意識のレベルを自在に切り替えること)
- 自分より優秀な人を採用することを躊躇しないこと
これらの特性は、単なるカリスマ性だけでなく、深く現実と向き合い、組織を力強く動かす真のリーダーシップの本質を示しています。福田は、この経験を通じて、自分はどのようなリーダーシップスタイルを志向しているのかを言語化して理解することの重要性を理解したと振り返りました。
マルチプライヤーか、ディミニッシャーか──「人の力を増幅させる人」の条件
次に福田が紹介したのは、人材・組織開発の専門家であるリズ・ワイズマン氏が提唱する「マルチプライヤー(Multipliers)」と「ディミニッシャー(Diminishers)」の概念でした。マルチプライヤーは、他者の能力を引き出し、力を増幅させるリーダーである一方、ディミニッシャーは、その逆で他者の力を減じてしまうリーダーを指します。
福田自身も参加したワイズマン氏の研修では、事前に周囲の同僚や上司、チームメンバーからフィードバックを募り、自身のマルチプライヤー/ディミニッシャー特性を分析したといいます。
この概念の重要なポイントは、「完璧なマルチプライヤー」は存在しないという点です 。著名なリーダーにも、ディミニッシャー的な側面が見られることがあります。ワイズマン氏が強調するのは、「自分がどういうタイプかを意識して、その周りに作るチームをどう編成するか」という点です。
リーダー一人で全てを成し遂げることはできません。だからこそ、自身の強みと弱みを理解し、それを補完し合うチームを構築することが、組織をスケールさせる上で非常に重要であると福田は述べました。これは、弱点を改善する努力も必要ですが、それ以上に自身の「あるがまま」を受け入れ、周囲とのコミュニケーションを通じて最大限のパフォーマンスを引き出すことの重要性を意味します。
「あなたにとってのリーダー像とは?」という問いを胸に
セッションの締めくくりに福田が語ったのは、「この2日間を通じて、皆さんが“自分がなりたいリーダー像”を言語化できる場にしてほしい」という強い願いでした。日々目の前のKPIや商談に追われる中、立ち止まって「自分のリーダーシップとは?」と問う機会は貴重です。


「普段、皆さんはご自身の会社の社長とは密なコミュニケーションを取っていると思いますが、今回のサミットでは、多様な個性を持つJapan Cloud各社の社長から直接話を聞くことができます。彼らの異なるリーダーシップ像に触れることで、ご自身のリーダーシップ部分を再考したり、あるいはご自身との違いを見つけたりする機会として活用してほしい」と福田は参加者に語りかけました 。
この2日間のサミットが、参加者にとって自身のリーダーシップの現在地を認識し、将来どのようなリーダーになりたいのか、どの強みを伸ばし、どの弱点を意識すべきかを明確にする、素晴らしいオフサイトとなることへの期待が込められていました。
次回は、社長パネルディスカッション「市場のない市場をつくる ─ 新カテゴリ創出の最前線」のレポートをお届けします。お楽しみに!