未来のリーダーが共に育つ場 Japan Cloud Talent Ecosystem - Japan Cloud Leaders Summit 2025 イベントレポート⑤
千葉 修司
次世代リーダー育成プログラム「HPLPセッション」の熱気
Japan Cloud Leaders Summit 2025 レポートの最終回(第5弾)をお届けします。
過去レポートはこちら:
Japan Cloud Leaders Summit in Karuizawa 2025 シリーズ
②社長パネルディスカッション「市場のない市場をつくる ─ 新カテゴリ創出の最前線」
軽井沢2日目の朝、有志による早朝ランニングや、澄んだ空気の中で行ったマインドフルネスセッションを終えた参加者たちは、次世代リーダーとしての成長を加速させるための目玉企画──「HPLP(High Potential Leadership Program)」セッションを迎えました。
本記事ではJapan Cloudの人材開発プログラムをリードする千葉が、Talent Ecosystem(タレントエコシステム)の象徴ともいえる“越境学習の場”をレポートします。
きっかけ:Vista Equity PartnersのCXO Summitの衝撃
2023年10月、米国オーランドで開催されたVista Equity Partnersが主催するCXO SummitにJapan Cloud代表のAruna Basnayakeと共に参加しました。Vistaは、Japan Cloudと長年パートナーシップを組んでいる世界最大規模のPEファンドです。


目にした光景はとても眩しいものでした。Vistaのポートフォリオ企業であるソフトウェア企業90社から世界各地よりCEO含む約500名のCXOが集まり、互いに生き生きとコラボレーションし、Best Practiceを学び合う、そんな熱量あふれる場を目の当たりにしました。
「いつかJapan Cloudでも、こんな学びと交流の場をつくりたい」と強く思いました。
そこで目にしたセッションも実に多彩でした。「急速に進化するAIの活用」「超多忙な日々を送るCXO達がどう個人としての生産性を保って仕事に取り組めば良いか」UC Berkeleyの教授が語ってくれるセッション。さらに、「Vista CompanyとなってからExitするまでの間の成長の軌跡」やネットワーキング、朝のマラソンなど刺激にあふれたプログラムが並んでいました。
その中でも特に私の目を引いたのが「HPLP(High Potential Leadership Program)と呼ばれる次世代リーダー育成プログラム」でした。Vistaのポートフォリオ企業で選抜されたリーダー達がこの3DaysのSummitにも特別参加し、グローバルリーダーとの交流を深めていたのです。
このHPLPは、Vistaがポートフォリオ企業に横断的に提供しているプログラムで、各社で選抜されたリーダーシップメンバーが半年以上かけて学び合いCXOへのプロモーションに向けた準備を行うものでした。世界中から集まったソフトウエア成長企業のCXO達と3日間一緒に過ごせるというのは、参加者にとってどんなにワクワクする場なんだろうと妄想しました。そして、Summitと共にこのHPLPも日本でやりたい!とその時感じ、興奮そのままにレポートを書いたのを今でも覚えています。
自分自身もグローバルカンパニーのCXOクラスのエグゼクティブ達(しかもたくさん!)に囲まれたことはこれまでのキャリアではなかったと思いますし、またArunaが縦横無尽にそのエグゼクティブ達とネットワーキングしていく、議論をぶつけていく様を見て触発されたこと、そして細々と自分も色々とチャレンジしたことを鮮明に記憶しています。下手な英語でも、また役職関係なく、意見を持っている人の話を聞くというエグゼクティブ達に共通した姿勢にも大いに感銘を受けました。
そんな3日間の経験を経て抱いた想い。ようやく実現したのが、この軽井沢でのLeaders Summitという場でした。
HPLPの立ち上げと概要
2024年のSales Manager Communityの立ち上げ、通年通して実践した取り組みから感じた価値。それらのエッセンスを取り入れ、Japan Cloudとして定義をしなおしたSales Leader向けのキャリアプログラムとして、2025年4月High Potential Leadership Programを日本でも立ち上げることができました。8社のポートフォリオカンパニーから10名のリーダーが参画し、プログラムがスタートしました。全5回のプログラムで軽井沢のLeaders Summitは中間地点に位置します。
まず始めに、Japan Cloud代表の福田による「THE PRINCIPLES」を題材にしながら、参加者が日々対峙しているビジネスの状況について、そして更なる会社・自身の成長を目指した時にどんな課題(≒伸び代)があるのかを共有し合いました。セッション後の懇親会、ネットワーキングもとても盛り上がり、リーダー陣の本音の悩みを共有し合う場に進化していったと感じます。


プログラムの中では、個人別に特に重点的に取り組んでいきたい課題を設定・共有します。既にJapan Cloudからは卒業したNewRelicで活躍している営業責任者もゲスト参加し、立ち上げ期~社員100名規模に組織が拡大する中でのリアルな営業現場の挑戦や成功体験を生々しく語る場面では、参加者の目線は真剣味を帯びていました。
各社、プロダクトや市場・顧客、組織の成長ステージなど異なるが故に、課題感やコンテキストに個別性はありますが、一方でテーマとしては共通するものがあります。例えば、会社の人員リソース配分、セールスキャパシティ・イネーブルメント、Ideal Customer Profileの設定など、正に「Principle=原理原則」として過去の経験から学べる点もたくさんあることを認識したコンテンツとなり、今後のプログラム・場への期待感も感じられるキックオフとなりました。
「越境」がもたらした学びの場
そして迎えたLeaders Summit 軽井沢の2日目、各社社長やノミネーションメンバーとともにHPLP Sessionが開催されました。
初日があまりに素晴らしい場だったため、その夜はプログラムオーナーとして緊張して1時間しか眠れなかったことは秘密です笑。
「他社のカントリーマネージャー達から、自社の課題・取り組みにフィードバックをもらう」
もし自分が参加者・発表者の立場だったら、ちょっと身構えたかもしれません。「この形式、本当に機能するかな?」と私自身一抹の不安はありました。しかし、スタートして数分でその不安は杞憂だったと確信しました。驚くほどオープンで前向きな対話が生まれていました。
各社の営業責任者が「いま自社がRevenue Growthのために取り組んでいる課題」を明文化し、それを基に少人数グループでプレゼン・質疑・相互のPeer Feedbackを行いましたが、どのグループからも、真剣さと熱量がにじみ出るような対話が繰り広げられ、Talent Ecosystemの真価が浮かび上がってくるのを、目の当たりにしました。


熱量と誠実さがもたらした価値
印象的だったのは、参加者の皆さんの「姿勢」です。
- 自社の現状や課題を隠さず開示しようとする勇気
- 他社の指摘や問いを、真正面から受け止めようとする姿勢
- その場で気づきを言語化・アクションにつなげようとする集中力
対等な立場で行うPeer Feedbackという仕組みが、程よい緊張感と支援的な雰囲気のバランスを保っていたのかもしれません。しかもそこには、同じエコシステムに属する「仲間だからこそ言えること」「言ってもらえること」が確かに存在していたと思います。
実際のフィードバックの一部をご紹介します:
議論したかった課題に対する明確なインプットが得られ、議論がどんどん深まりました。自社に適用すべき施策も明確になり、有用性が非常に高かった。
他社のリアルな課題が聞け、同じ苦労をしていると分かり勇気をもらえた。Giveの精神の大切さを再認識しました。
自社の状況を共有した上で、客観的に“こうした方がよいのでは”とフィードバックが得られたのがありがたかった。来週からすぐ動けるアクションアイデアも見えた。
全員が本当に熱意を持って自社ビジネスを考え、発表し、積極的に意見を求める姿に感動した。
こうした声に、私自身も強く励まされましたし、多くの参加者が同様に感じてくれたのではないかと願っています。


「今まさに奮闘している人」の言葉が響く理由
実は初日の社長パネルディスカッションを終えた後、社長の数名の方からこんな言葉を伺いました。
「あんなコメントで良かったのかなあ。自分はまだ成功していないからさ」
私はこの「道半ば」と客観的にご自身を捉えている姿勢・言葉こそが、今回のHPLPセッション参加者の皆さんへの大きな贈り物だったと思っています。
成功者のストーリーも学びになりますが、 「今まさに頑張っている人」「もがいている人」が語る言葉には、
- 自分ごととしてのリアリティ
- 励まし合える距離感
- 未来を共に描ける余白がある。
参加者たちが、等身大のロールモデルに触れたあの時間は、きっと何よりもの刺激になったはずです。
組織開発の“触媒”になるような場づくり
今回のセッションで改めて感じたのは、
「優秀な方たちが、一定の心理的安全性と共通目的のもとに集まると、化学反応が起きる。」 という当たり前だけど、簡単に実現しない、奥深い原則です。
この「状態」をいかにつくり出すか。 そして、その状態にないときに、どんな打ち手を講じられるか。
今回で言えば、
- 社長とHPLPのリーダーが同じ場にいること
- Peer Feedbackの設計
- 立ち上げ〜成長期の複数社をまたぐ構造
- 何より参加者一人一人が「Give」の精神を持てていたこと
などが、その化学反応を後押ししてくれたのだと思います。
準備の段階では、課題テーマや企業の成長ステージ、プロダクトの特徴・顧客の親和性を踏まえたグルーピングなど、進め方については細部まで設計しました。
このHPLPセッションは「個社では実現しづらい課題解決・組織・人材開発のかたち」を可能にするひとつのモデルだと感じました。「この取り組みは、うちでも取り入れたい」「一緒にこんな施策をやっていこう」とその場で決まったケースも多々あり、そうした瞬間こそが“越境の価値”の現れだと感じました。
次年度以降も進化させながら続けていきたいと思っています。
Talent Ecosystemの未来へ
本当に多くの方から「これからも継続してほしい」「これまでこのような場がなかったことが不思議なくらい」という声を頂きました。また、「より多様な役職・職種の人が混じる構成にしてもよいのでは?」という声も。全て実現できるかはわかりませんが、挑戦し続けることにこそ、このプログラムの価値があると思っています。
Talent Ecosystem─その価値が結実する瞬間に立ち会えたことに感謝の気持ちでいっぱいです。High Potential Leadership Programは後半戦へ。
Japan Cloudは、未来のリーダーとなり共に支え成長する仲間を求めています。本レポートを読んで、少しでもご関心をもっていただいた方、成長企業の経営を動かす最前線で挑戦したい方は、ぜひ私たちと一緒に一歩を踏み出しましょう。
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Japan Cloud Leaders Summit in Karuizawa 2025にご参加いただいた皆様、ありがとうございました!







