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2025.09.26

外資IT営業キャリアのリアル|大企業の看板を脱ぎ捨て、SEから営業へ──立ち上げフェーズで見つけた「自分の価値」

木下 都

「外資IT営業キャリアのリアル」シリーズ

外資系IT企業で営業キャリアを築きたい方に向けて、スタートアップでの挑戦と成長の実体験をお届けします。
今回は、SEから営業職へとキャリアを転換し、外資SaaSの立ち上げフェーズに飛び込んだPagerDuty株式会社 シニアセールスマネージャー 大蔵 一功さんに、自らの価値を見つけていく過程や、営業未経験からの挑戦、その先に得たやりがいについて伺いました。「立ち上げフェーズのリアル」を知りたい方にこそ、読んでほしいストーリーです。

大蔵 一功

PagerDuty株式会社
シニアセールスマネージャー

外資系データベースベンダーのSEとしてキャリアをスタート。グローバルIT企業に転職し、ソリューションアーキテクトやアカウント付き技術営業を歴任。現在は営業としてPagerDuty社に参画し、日本法人の立ち上げを推進しています。

「会社の看板なしで自分には何が残るのか?」──SEから営業へのロールチェンジに至る思考

――SEから外資SaaS営業へ。転職を考えたきっかけは何でしたか?

前職の会社には6年半ほど勤めていて、自分としては日々の業務や会社の雰囲気に慣れてきたと感じていました。少し落ち着いて考えたときに「大企業の看板がなくなったときに、自分に何が残るのか」と感じました。自分自身の本当の能力や価値を試したくなっていました。

そんなとき、当時の上司だった山根がPagerDutyのカントリーマネージャーとして日本法人を立ち上げるということを耳にしました。海外のソリューションを日本に導入し、ビジネスを立ち上げるという世界があることを、その時に知ったのです。それをきっかけに、私も「立ち上げを経験してみたい」と転職を考えるようになりました。

そこでPagerDutyというソリューションを調べると、「これはニーズがある」「売れる」と直感的に感じました。私はもともとSEだったので、運用現場の経験もありました。当時を振り返ると「こういうソリューションがあるといいな」と自分自身が思ったのです。

やるべき仕事であったとしても、前向きになれない、できればやりたくない仕事もありますよね。インシデント管理は少なくともそのような要素があると思います。そのインシデント管理におけるヒトの負荷の軽減、手作業の自動化をやるのが、まさにPagerDutyのカバー範囲です。さらに社会背景としても労働人口が減り、人件費が高騰している現状があります。人がやらなくていい仕事はどんどん自動化していくべきで、それができるのがPagerDutyだと感じました。

――SEから営業という未経験ロールを選んだのは、なぜだったのでしょう?

立ち上げというフェーズで入社することを考えたときに、日本でのPagerDutyのビジネスに直接的に、一番貢献できるロールとして、会社に関わりたいという思いがありました。さらに私自身がSEとして働く中で「自分が営業だったら?」「こう動いたら効果的では?」と考えることもありました。そう考えると、自分が営業として数字を伸ばすことが、一番ビジネスに貢献できるのではと思い至ったのです。

自分の希望を山根に伝えると、すんなりと快諾してもらえました。そのとき山根にどのような考えがあったかは分かりませんが、非常に感謝しています。

未経験の営業職として、新しいチャレンジが始まりました。

スタートアップ営業は“想像以上にやることだらけ”──未経験からの立ち上がり方

実際に営業として入社すると、業務に追われる日々が待っていました。PagerDutyはスタートアップですが、既に何百社という大企業のお客様に導入されており、問い合わせも非常に多くいただいていました。膨大なタスク量に圧倒されて、SEとの仕事のギャップを感じる暇もありませんでした。

社内の仕組みやセールスプロセスを理解するまでは、一つ一つの案件に時間がかかったり、資料をお客様向けにカスタマイズしようとしても、立ち上げ期なのでテンプレートが整備されていなかったり。さらに毎週15件から20件の客先訪問があったので、忙しくてがむしゃらながらも、新しい環境を楽しみながら取り組んでいました。

バックグラウンドとして技術の知識があったので、営業ながらもお客様と技術の面でもディスカッションができたことは、商談を進める上でラッキーでした。周囲の方に支えていただいたこともあり、ロールチェンジしたからといって大きな違和感はありませんでした。非常にシンプルなソリューションで製品構成が少なく、キャッチアップしやすかったというのもあります。

ただ、これまで経験がなかった業務には苦労がありました。例えば、当時は面識のない人に電話を掛けることにすごく抵抗があり、はじめはどうしてもストレスを感じていました。ただ実践し継続してやってみると、それも通常業務となり、今では電話も苦ではありません。苦手意識を克服できたので、結果的には良かったと思っています。

未経験だった営業の業務は、まずは真似をすることからはじめました。山根は前職では営業のトップパフォーマーでしたから、彼が言うことをまずは全部やる。そして同僚の営業の方に1on1の時間をもらい、どのように活動しているのかを全部教えてもらい、やってみる。それから自分のやり方として合うもの・合わないもの、結果が良かったもの・良くなかったものを取捨選択していく。そうやって、とにかく動くことを心掛けました。そうした中で活動量は営業成績に直結することを身を持って学びました。

PagerDutyで得たのは、グローバルSaaSの一員としての成長機会

――PagerDutyの社風や、チームの雰囲気について教えてください。

あまり年齢やロールは関係なく、みんなオープンコミュニケーションな会社ですね。売上や戦略について検討する毎週のミーティングでも、「上からご指導をいただく」のではなく、どう気付きをもらうか、どう気付くか、がポイントになっていると思います。建設的に「営業成績をあげるために何ができて、何をするべきか」だけを本当にシンプルに話すコミュニケーションです。

あとは目標を達成することに対して、努力を惜しまない人が多いです。メンバーの平均年齢が若いというのもあるかもしれませんが、アクティビティ量が非常に多くて熱量がある人が多いと思います。
オーストラリアのメンバーもすごくいい人たちで、みんな気さくで明るくて、入社時や入社1年目のタイミングにも温かいメッセージを送ってくれました。優秀な成績を残したメンバーは、年に1回、グローバルで集まってお祝いをするアワードトリップというイベントがあります。今年は日本から4名が参加して表彰を受け、グローバルのメンバーと交流してきました。

人数が少ない分、本社メンバーの関係性の密度が濃いと感じます。グローバルのCEOの人となりも分かるし、距離感が近いからメッセージが伝わりやすい。ボードメンバーも同僚も動きが見えやすいのは、勉強になって面白いです。

去年CEOのジェニファーが来日したときには1on1の時間をもらいました。私はセールスマネージャーになったばかりのタイミングで、「どう?」「楽しみだけど不安もあるよ」という感じでフランクに会話しました。そのときにもらった「まずは共感をすることと、正しく期待を伝えること」というアドバイスは、実践を心掛けています。

Japan Cloudコミュニティが支える「スタートアップ営業」の学習環境

Japan Cloud主催の交流イベント職種ごとのコミュニティの場で、他社の方と話をさせていただくことが増えています。SaaSサービスを推進するための効率的な方法論や、CRMをどう活用していくかなど、これまで経験を積んできた方は洗練されたプロセスの知見を持っています。しかしPagerDutyにはSaaSカンパニー経験者が多くはありません。

私自身が今取り組んでいるやり方よりも、より良いやり方は絶対にあると思っていますし、自分が悩んでいることは大抵他の人も悩んでいる。そういう生の情報が、実際には一番役に立つと思います。それを、経験値を持つ人にリアルに聞けるのは、Japan Cloudの関連会社であるメリットの一つですね。

Japan Cloudのつながりでお話を伺って、私たちがすでに行っていること、行っていないことをその場でぱっと仕分けをして、行っていないことはすぐ取り入れるか・取り入れないかという話まで一気にアクションできる。そうやってコミュニティの中で学ばせていただける機会があるのは非常にありがたいです。

技術主語から顧客主語へ──スタートアップ営業がもたらした意識の変化

前職でSEをやっていたときは「技術をどうお客様に役立てるか」と、「技術」が主語になっていた部分がありました。当時は「人」を見ていなかったと、今になって感じています。今は「お客様」が主語になって、お客様視点で物事を見るようになったのが大きな変化です。

実際にお客様にPagerDutyを提案して使っていただき、目に見えて業務が変わっていったり、改善されていたりするのを感じるときにはやりがいを感じます。それは会社自体が伸びることにもつながるので、そうやって役に立てていると実感できるのはうれしいです。

自分の価値は、行動の先にある──信頼できる仲間と進むキャリアの道

この数年で多くの学びと変化がありましたが、私の軸は「周囲の人の幸せ」にあります。世界を救うことはできませんが、自分の関わる範囲からPagerDuty Japanのサービスを成長させることで、それを実現していきたい。チームのメンバーも含めて、目の前の案件、今年1年をどうするかが、今の私にとって一番大切です。まずはこのビジネスをどこまで伸ばせるか、市場でPagerDuty がどこまでお客様の役に立てるのか。まだ導入していただいていないお客様に届けていきたいです。その先の自分のキャリアについては、それから考えたいです。

転職のきっかけであった「自分の価値」はまだ分かりませんし、一生分からないのかもしれない。でも、とてもいい経験をさせていただいて、成長を実感しています。例えばPagerDuty on Tourというイベントは社員が全員参加で作り上げました。これもロールがきっちり決まっていない立ち上げ期ならでは。すべてを自分ごととして捉えています。

この小さな会社に来て強く思うのは、やっぱり一緒に働く人が一番だ、ということ。信頼ができる、背中を預けられるメンバーたちと新しいことを作っていくのは、キャリアにとってもすごくいい経験になっていると思います。ただ、この状況が未来永劫続くことはありません。生活にも仕事にも色々なステージがあり、選択が迫られるときがくる。先のことはあまり考えず行き当たりばったりで進むタイプですが、もし大きなチャンスが巡ってくれば、チャレンジして掴めるように経験を積んでいきたいですね。

(肩書きは取材時のものです)

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本記事は、「営業キャリアの挑戦と成長」シリーズの一編です。

外資系IT企業やスタートアップでのキャリアに挑戦し、成長を目指すリアルなストーリーを、今後もお届けしていきます。

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