Blogs

リーダーに訊く!第11回 Kong 代表取締役社長 有泉大樹氏 |あえてコンフォートゾーンを捨ててKong Japanへ参画した理由と「AI時代のインフラ」を創る使命

Japan Cloud

Kongは2017年に米サンフランシスコで創業された、クラウドネイティブおよびAI Connectivity分野のパイオニアです。システム同士の安全かつ超高速な接続を目的に、API管理だけでなく、多様なAIモデルの統合やガバナンスなど、企業のデジタルインフラのモダナイゼーションを網羅的に提供するプラットフォームを提供しています。今では、次世代のビジネスインフラを推進する存在として、世界中の企業に支持されています。

日本法人には、2024年7月に有泉氏がカントリーマネージャーに就任。AI Connectivityプラットフォームによる顧客企業のIT刷新とビジネス成長の加速を推進しています。

なぜKongという選択だったのか

――まずは有泉さんのこれまでのキャリアの歩みと、今回Kong Japanのカントリーマネージャーへの就任を決意された背景について教えてください。

有泉 私のキャリアのスタートは1999年、戦後最悪と言われた就職氷河期でした。当時は航空業界一点突破で就職活動をしており、IT業界など全く見ていませんでしたが、縁あって大塚商会に入社。ここで14年間、SI事業を通じてITの基礎体力を徹底的に叩き込まれ、「ITこそが日本経済を強くする原動力だ」という強い軸が培われました。

その後、グローバルビジネスへの憧れからデル・テクノロジーズへ転身し、外資系の成果主義や俯瞰的なキャリア視点を経験。そして2014年、当時は日本にまだ「経費精算」という市場すら確立されていなかった中、社員20名程度で誰もその名を知らなかったスタートアップ期のコンカー(現、SAP Concur)に飛び込みました。

丸10年間、エンタープライズ営業本部長として時価総額トップ100企業の75%にペネトレーションを果たすという、ダイナミックな急成長フェーズを従業員として体感しました。前代表の三村真宗氏のもとで、市場を創り、組織を拡大し、社員の「働きがい」を高めていく戦略を間近で学べたことは、私の人生の財産です。

しかし、40代後半を迎え、コンカーで一定の成果を出し、いわゆる「コンフォートゾーン」にいる自分に気づきました。数年後には50歳になる。気力、体力、知力が最高潮であるうちに、もう一度あの泥臭くもエキサイティングな「市場創出」と「組織拡大」の挑戦に身を投じたい――。ふつふつと湧き上がる衝動を抑えきれずにいたタイミングで、Japan Cloud(福田氏・アルナ氏)から熱烈なアプローチをいただいたのが、Kongとの出会いでした。

 

――ビジネスアプリケーション(SaaS)の領域から、インフラ・ミドルウェアという極めてテクニカルな領域への転身、さらに初の日本法人社長(カントリーマネージャー)というロールには不安はありませんでしたか?

有泉 正直に言えば、大きな迷いや不安はありました。直近の10年間はビジネスアプリケーションのレイヤー(SaaS)に深く身を置いていましたし、職責も営業本部長という立場。そこから、インフラ・ミドルウェアという極めてテクニカルな領域の、しかも「カントリーマネージャー(日本法人社長)」という未経験のロールへ舵を切るという決断は、自分自身にとっても非常に大きなチャレンジであり、「本当にやりきれるだろうか」という不安がなかったと言えば嘘になります。

しかし、私自身のキャリアの軸は一貫して「チャレンジ」です。やらずに後悔するくらいなら、入ってから全力で考えればいい。「人生一度きりなんだから、挑戦しよう」と腹をくくり、2024年7月、Kong Japanの舵を取る決断をしました。

Kongと「API / AIの世界」との出会い

――技術畑ではない有泉さんが、なぜAPIマネジメントの領域に将来性を感じたのでしょうか。その原点について教えてください。

有泉 技術畑ではない私が、なぜAPIマネジメントの領域に将来性を感じたのか。その原点は、実はコンカー時代にあります。

コンカーでは経費精算という単一のソリューションでありながら、外部のパートナーエコシステムを徹底的に発展させていました。例えば、JR東日本の「Suica」。ユーザーが改札にSuicaをタッチして出ると、何年何月何日、誰がどこからどこまで乗り、いくらかかったかというデータが、裏側でリアルタイムにコンカーの経費フォルダへプッシュされます。タクシーアプリやクレジットカードの利用明細も同様です。

経費精算に際し、利用履歴を見ながら行う煩雑な手入力をなくし、圧倒的なUX(ユーザー体験)とデジタルイノベーションを生み出している黒幕こそが、システム間を繋ぐ「API」でした。分断された世界を繋ぎ、新しいデジタルエコノミーを創り出すAPIの爆発的な必要性を肌で感じていたからこそ、その根本のインフラを支えるKongのポテンシャルの大きさに確信を持てたのです。

対話で紡ぐ「ワンチーム」のカルチャー

――入社初期の組織の状態と、そこからカルチャーをどのように構築していったのかを教えてください。

有泉 入社した初期、Kong Japanはまだメンバーがそれぞれのロール(自分の仕事)しか見ておらず、見ている方向がバラバラで、決して一枚岩とは言えない状態でした。

そこで私が最初に着手したのが、徹底的な対話による「共通言語化」です。「我々はなんのために、このKongというソリューションを日本に届けているのか」「社会にどう貢献できるのか」という存在意義を、営業、エンジニア、カスタマーサクセス、サポートといったすべての部門を巻き込んで泥臭く話し合いました。

四半期ごとのビジネスレビューやオフサイトミーティングの場では、必ず「建設的なフィードバックをしよう。それは相手を攻撃するためではなく、自己成長と会社の成長のために不可欠だから」という前置きを共有しています。

職種が違えば、抱えるミッションも価値観も異なるのは当然です。大切なのは、違いを恐れて内向きになることではなく、お互いへのリスペクトをベースに「交わるベクトル」を対話によって大きくしていくこと。この圧倒的なオープンさがあるからこそ、私たちは高い目標に対しても、組織一丸となって最短距離で突き進むことができるのです。

――創設期のメンバーに求めるマインドセットや、Kong Japanで得られる裁量についてはどうお考えですか?

有泉 創設期において、私たちが求めるのは「自分の仕事はここまでです」と自ら境界線を引かないマインドセットです。

もちろんそれぞれの役割は決まっていますが、組織が大きくなる過程では、誰の担当でもない「こぼれ球」が必ず発生します。それを「自分が拾えるものは自発的に拾っていく」という当事者意識(セルフスターター)で全員が動くからこそ、自分が困ったときには必ず誰かが手を差し伸べてくれるという強固な信頼関係が生まれます。

職種の枠に縛られず、ビジネスの立ち上げそのものにタッチできること。それこそが、今のフェーズのKong Japanにジョインするからこそ得られる、最もエキサイティングな裁量の大きさだと確信しています。

Japan Cloudのプレイブックと、グローバル本社との泥臭い信頼構築

――Japan Cloudとのパートナーシップの強みについて教えてください。

有泉 これまで19社におよぶ外資ITの日本ローンチを手掛けてきたJapan Cloudには、企業のステージごとの課題や成功・失敗体験がすべて「プレイブック」としてアセット化されています。これをベースに、先回りして対処法を準備できる環境は、経営を預かる身として非常にありがたい知見です。

また、完全な海外子会社(HQの100%子会社)であれば、すべて本社意向のトップダウンで動かざるを得ない局面が多いですが、Japan Cloudとの共同経営であるからこそ、日本市場に最適化されたローカルの意思決定を力強くサポートしてもらえる「動きやすさ」があります。

――グローバル本社(HQ)との信頼関係はどのように構築されていますか?

有泉 グローバルCEOのAugusto Marietti率いる本社との信頼構築においては、一切の綺麗事を抜きにして、以下の3つを徹底しています。

  1. 数字で実績を出し、執着すること: 信頼のファーストステップは結果。何があっても数字をやり切る執着心を見せる。
  2. 自分の軸を持って対話すること: 言われたことをただこなすのではなく、日本市場に必要な戦略をきちんと言語化し、自分の意見(軸)を持って意思疎通を図る。
  3. 泥臭い人間関係の構築: 国籍や言語が違えども、同じ人間です。海外拠点を訪れる際はお土産を持参し、本社メンバーが来日した際は全力でもてなす。ビジネスライクな関係を超えた、人間対人間の付き合いを大切にしています。

AI時代のKong

――日本市場のビジョンと、これからのAI時代に向けたKongの優位性について教えてください。

有泉 Kong Japanに入社して約2年、日本市場と海外市場の決定的な違いが鮮明に見えてきました。欧米では「APIファースト」によるモダンな環境構築が進む一方、日本企業の約75%には依然として、巨大で複雑なレガシーシステムが残されています。モダナイゼーションしたくても、莫大な期間とコストがネックとなり、誰も手をつけられない状態でした。

しかし、Kongが従来のAPI管理から「AI Connectivity(AI接続プラットフォーム)」へと舵を切ったことで、この停滞した市場の景色が一変しました。

最近、常石造船様とのプロジェクトをプレスリリースさせていただきましたが、これがまさに象徴的です。同社では17年間塩漬けになっていた調達購買システムを刷新したかったものの、旧来の手法では現状調査だけで「期間2年、費用2億〜3億円」かかると言われていました。しかし、ここにAIを活用し、次期システム設計にKongのプラットフォームを組み合わせたことで、なんと「わずか2日間」でシステムの検証と設計が終わってしまったのです。

地道に切り崩すしかなかったレガシーの氷山を、AIの力で一気に最新の状態へとモダナイズする。この圧倒的な実績こそが、現在のKongが持つ唯一無二の優位性です。

――今後、複数のAIを使い分ける時代において、Kongが果たす役割とは何でしょうか?

有泉 今後、企業が「エージェンティックAI」を本格的に実務利用し、複数のLLM(大規模言語モデル)を使い分ける時代になると、裏側のシステム接続点は爆発的に増加します。

もしこれらをバラバラに接続していけば、セキュリティやガバナンスが効かない「シャドーAI」が蔓延し、運用コストもライセンス費用もコントロール不能になります。Kongは、特定のメガクラウドに依存しない(ベンダーロックインされない)フラットな立場で、これらすべての接続点をエンドツーエンド、ワンプラットフォームで安全に管理・統制します。これからのAI時代、このプラットフォーム化を推進しない企業は、間違いなく市場での競争力を失っていくでしょう。

バックオフィス改革の旗振り役として|Kongで挑む新たなステージ

――インフラやAPIの領域はテクニカルすぎてハードルが高い、と感じている候補者へ向けてメッセージをお願いします。

有泉 現在、Kong Japanは営業からカスタマーサクセス、エンジニアまで、全方位でコアメンバーを募集しています。「インフラやAPIの領域はテクニカルすぎてハードルが高い」と躊躇している方がいれば、私は「全く心配いらない」と伝えたいです。

実は、今活躍している日本法人の営業メンバーのほとんどが、入社時はこの領域の技術的バックグラウンドを持っていませんでした。Kongには、入社後にキャッチアップするためのグローバル水準のマテリアルが揃っていますし、何より日本のエンジニアが営業向けに自発的に勉強会を開催するなど、困ったら全員で支え合うカルチャーがあります。学ぶ意欲さえあれば、誰もがグローバルトップクラスの人材へと成長できる環境です。

「ITの力で世の中を良くしたい」――。就職氷河期に社会人になったときから胸にあるこの想いは、今、Kongという場所で、日本企業のレガシーシステムを一気にモダナイズし、AI時代のインフラを支えるという、極めて解像度の高い「確信」へと変わっています。

――最後に、一歩を踏み出そうとしている方へ向けて、背中を押す一言をお願いします。

有泉 ITの広い世界において、データの流通とシステム連携を支えるこの領域は、絶対に無くならない、かつこれから最も伸びる「巨大なトレンド」そのものです。

まだ世の中に広く認知されていないからこそ、自分たちの手で日本企業のビジネス改革の「旗振り役」となり、市場を創り、会社のカルチャーを1から構築していくチャンスがあります。完成された組織の歯車になるのではない、コアメンバーとして組織の拡大を自らの手で牽引する。そんなエキサイティングな挑戦に、あなたのこれまでのキャリアを活かして、ともに次のステージへ進みませんか?

人生は一度きり。皆さんと一緒に「ワンチーム」で新しい時代を創れる日を、楽しみにしています。

Kong

API マネジメントプラットフォームのリーディング企業である Kong は、グローバルにおける API マネジメントの分野で高い評価を受けており、世界中の企業が「 API ファースト」企業になることを使命としています。

Kongについて