BLOG

Japan Cloudからのメッセージ、インタビューや活動内容などを発信しています。

キャリア

日本のエンジニアをハッピーにできる。そこに存在意義がある。|Japan Cloud Career Talk #2【エンジニア対談】後編

著者:JAPAN CLOUD

Japan Cloudの関連会社社員のリアルをお届けするキャリアトーク。2回目はエンジニアとしてサービスとクライアントをつなぐ、New Relicのコンサルティング部部長 清水毅氏とPagerDutyのManager, Solutions Consulting 山田 索氏にお話を伺いました。前編と後編の二回に分けてお届けします。前編はこちら

目次

(前編)

  • 知名度のある企業からスタートアップへ転職した理由
  • ゼロから立ち上げるスタートアップの難しさと意義

(後編)

  • 成長へ向けた課題と業界の潮流
  • エンジニアとしてのキャリアをどう描くのか

成長へ向けた課題と業界の潮流

――成長を続ける中で難しさや課題を感じることはありますか。

清水 事業会社で自分が作ったモノをお客様に届けることと、現職のように、本国で作ったものを日本法人として国内のお客様に届けるということは、まったく違う制約がある中での戦いだと思います。ただ、事業会社で開発運用すると担当できるシステムの数は限度がありますが、今は自分で作らないことで何十社・何百社のお客様に対応できます。本国の機能開発とお客様企業のブリッジになることで、同時に何百人分の人生を体験するような感じなんですよね。つまり、より多くのエンジニアをハッピーにするための活動や、ひいてはIT業界に与えられる影響度を高めていくことに繋がりますので、この経験ができることは自分の求めているエンジニアとしてのキャリア実現にも良い効果があるように思います。

山田 我々の求められる役割の1つはプロダクトとマーケットのギャップを埋めること。チャレンジとしては、お客様のニーズが日本独自のものだったりすると、どうやってそれをビジネス的に正当化してロードマップに入れるかという点です。情報を集めて、どのように適切なメンバーにインプットして働きかけていくか。どうインパクトするかを根拠を示して本国側に説明しなければいけないのは苦労しているところです。

それから清水さんが言っていた心理的安全性ですね。これをチームが急拡大する中で確保することは、非常に重要だと考えています。心理的安全性というと、お互いに嫌なことを言わない仲良しクラブと勘違いされる場合もありますが、むしろその逆です。前に進むためには、全員が誰に対しても必要なことは言わなくてはいけない。嫌なフィードバックでも受け止めなければいけないんです。その建設的なフィードバックがやりとりされる土台が心理的安全性で、それが作れないんだったら、おそらく期待される成長を実現できないでしょう。リーダーがそこを大事にしているかどうかで、チームの心理的安全性が決まる。会社のリーダーが心理的安全性を大事にしている、実現しようとしているというのは大きいと思います。

PagerDuty年次主催イベント“PagerDuty Summit Japan 2023”での講演(PagerDuty山田さん)

――日本でのDevOpsや内製化の流れをどのように捉えていますか。

清水 IT企業ではなくてもITが必要な時代に、グローバル競争力をどう高めるか。私は、DevOpsも内製化も、根底は文化やマインドの話だと考えています。事業の中でデジタルを手段として邁進できるようになることが差別化ポイントになろうかと思います。それぞれがサイロ化されていくのではなく、事業的視点でエンジニアリングを手段として実践することに揺らぎない企業とそうでない企業で、差が出てくると考えています。そのためには事業的成果を意識した社内外のエンジニアの育成ができれば、そのエンジニアの市場価値も高まり、日本のITマーケット自体が底上げできると思い、『New Relic』を使って相対するお客様の事業貢献にコミットしています。日本のエンジニアの待遇向上がそこにあると思っているので、チャレンジしていき多くの企業がDevOpsや外製内製という手段だけにとらわれず『事業アジリティ』を高めて競争優位性を獲得する世界を目指していきたいですね。

また、SIer企業様とお仕事をさせていただく機会も多いのですが、私のキャリアミッションの達成のためにも、お客様だけでなくSIerの皆さんも巻き込んだチャレンジを一貫して心掛け、業界にポジティブな変革のサイクルを生み出せるよう日々努めています。

山田 開発や運用の内製化のタイミングで『PagerDuty』に声がかかることがありますが、それ以外の場合でも『事業アジリティ』を高めるために活用いただくケースも多いです。チームや会社の垣根を超えて、システム全体の状況をリアルタイムで可視化・共有する仕組み、オペレーションを継続的に改善をするための仕組みといったものは、DevOps/内製化を進めているかどうかに関係なく重要になっています。そういった時に支援できるノウハウや、『New Relic』や『PagerDuty』のようなツールが今ようやく揃ってきているところですね。

清水 システムに『New Relic』を導入すると、見えていなかったシステムの全貌や運用状況が可視化されます。それをきっかけに開発や運用の体制が本質的な価値を提供するようになれば、企業のバリューが引き出されてITで競争優位性が高まることにつながります。それを支援できるのが、『New Relic』なんです。

エンジニアとしてのキャリアを積んできた私や山田さんだからこそ、エンジニアの役に立つ、やりたいことに専念できる環境づくりのためのツールの啓蒙に、現在フルコミットで活動させていただいているのかもしれませんね。

山田 そうですね。いまの仕事に熱意を持って取り組めているのは、自身の経験からエンジニアの方に共感できることが大きいと思います。

ツールに加えて、ノウハウの部分についても少し補足させてください。『事業アジリティ』を高めるにはツールだけでなく、どのように運用を行うかといったプロセスや体制などのノウハウも非常に重要です。

New RelicではNRUGというユーザーコミュニティを介して、ユーザー同士でノウハウを学び合う機会を提供しています。PagerDutyでもユーザーコミュニティを立ち上げる準備を進めていますし、Ops Guidesという形でDevOpsやインシデント対応に関するベストプラクティスを公開しています。PagerDutyが実践して、うまくいったこと・いかなかったことを理由を添えてまとめているので、こういった情報から自社に合ったプロセスと効率的なツールの活用方法を考えていただければと思います。

コロナ後初の年次オフライン最大イベント“Futurestack Tokyo 2023”にてグローバルCEOビルさんとAPJのボスKrisさんと一緒に(New Relic清水さん)

エンジニアとしてのキャリアをどう描くのか

――エンジニアとしてキャリアチェンジを考えている人にアドバイスはありますか。

山田 僕は今、「自分が意義を感じられること」「世の中で求められること」「自分の強みが活かせること」の三つが重なる仕事ができて一番充実しています。きちんと自分がやるべきことに自分のスキルを使って、貢献できている。20代の頃はけっこう焦っていた部分もありました。周りにすごい人がいっぱいいて、技術が好きで土日も新しい技術や機能を追いかけている人もいて、自分が持ってないものばかりがすごく見えていました。

でもそれってエンジニアの系統の一つでしかないので、誰でも自分は得意で他の人が苦手なもの、自分の才能というものが必ずあると思っていて。病気をせずにコツコツ仕事を続けることも才能だし、他の人は大変だけど自分は苦もなく続けられることってやっぱり自分の強みなので、その要素をどういうふうに組み合わせられるか。自分が考える理想のエンジニア像みたいなものと市場で求められるものとは大抵一致しないので、自分だったらどうやってその職でインパクトを出せるかというフレームを変えて見てみると良いかもしれませんね。弱みを伸ばそうとすると強みを伸ばすのに対して何倍もの労力がかかるので、強みを生かして、他のメンバーとどう弱みを補い合うのか。

僕がラッキーだったのは、周りの人たちがすごい人ばかりだったので、自分の気の進まないテクニカルな勉強やお客様への難しい対応も、やって当たり前だと思って敬遠せずにに経験を積むことができたことです。20代では自分の強みなどは認識していなかったけど、結局そういう環境に育ててもらって。30代になると自分が得意なこと・得意でないことが整理されてきて、その後は楽になりましたね。自分がどのような役割を果たすべきか、自分がどこに貢献できるのかが、ある程度自分の中で腹落ちして分かるようになるので。

清水 私は実は、自分は才能がまったくないし本当に凡人だな、好きなことも得意なことも無いなとずっと悩んでいました。20代前半は色々なことを中途半端にやっては逃げ続けていたんですよ。でも次はもう逃げられないぞと思って、25歳の時にIT業界に飛び込んで、マネージャーになるまでは辞めないぞって決めて。山田さんのお話と似ていますが、私もその時に、自分が戦う領域を「好きで、得意で、求められること」、この三つが重なる領域のパーツを増やすことしかしないって決めたんですね。

どこに行っても、この領域ではこの人に絶対勝てないっていう人がいて、自分の戦い方の戦略を作らなきゃいけないんです。それを考えた時に、過去に受験や大学、部活の大会とかアルバイトとか、社会人経験も含めて、様々な経験の中で自分が重ねてきた成功パターンと失敗パターンを棚卸しすると、必ず共通項がある。成長のサイクルにも共通項がある。それを掘り下げていったら、私は自分の強みでもあり根源的な欲求でもあるのですが、「人に伝えたい」ということに気付いたんです。この「伝えたい」には二重の意味があります。一つは何を伝えるのか、これは私が幾多の成功や苦難と共に積み重ねてきた、IT運用領域の経験、エンジニアとしての経験、つまり今ではコンサルティング側として、エンジニア育成やそのプレゼンス向上に貢献できる情報、生きたナレッジです。二つ目にどう伝えるのか、これがコミュニケーション能力になりますが、私はこの伝達能力にも強みがあることに気がついたのです。ですので、私はこれらの強みを生かし、メッセージを伝えていきたい。そして、できれば人の人生を好転させたい、してもらいたいと思っています。

自分の原始的な欲求を理解して、それが自分のワクワクだしアドレナリンが出ることだから、それらを組み合わせたんですね。それができることだったら、どんな仕事でも良いと思っています。
お客様が求めるはるか先を提案して感動させるということ、これが私の強みだし、特技だったと。このように、強みのパーツを集めて重ねると唯一のロールになれる。唯一のキャリアが作れると思います。

これをデベロッパーとかソフトエンジニアとか、特定の枠の中でやってしまうと、絶対に、上には上がいて挫折するんですよね。そうじゃなくて自分の強みを生かせば、一般的なロールに縛られない自分のキャリアが見つけられると思います。そういった方にもぜひ活躍して欲しいし、心から応援したいと思います。

山田 僕はクレディセゾンCTOの小野和俊さんの話が好きなんです。彼はシリコンバレーでの開発や起業などを経験した後、テックベンダーじゃなくてクレディセゾンという日本企業に飛び込んだ方。彼は「ラストマン戦略」という、エンジニアの成長・育成のための戦略を提唱しています。

自分が一番になれそうな分野で、自分のグループのトップ、最後の砦になるんですね。「この分野だったら山田さんが強い」のであれば、そのグループの人は山田さんに聞きに来るわけですよ。すると情報が全部そこに集まる。そうなるとそのラストマンの人には、どんどん伸びるチャンスが与えられていく。僕は前職では、動画配信のキャッシュ最適化の分野において日本支社のラストマンになることで、成長することができました。その分野に関する案件や講演については、自分に相談が来るので常に学び続ける必要がありましたし、国外の同僚から日本の動画配信市場について聞かれたり、海外の動向について情報をもらう機会も増えました。
例えグローバルで一番になれなくても、日本支社で一番になれる分野、チームの中で一番になれる分野、そういうものを決めて、うまく組み合わせて伸ばしていく。そうすると効率良く成長できるし、いろんなチャンスが巡ってくる気がします。

今年開催したPagerDuty年次主催イベント“PagerDuty Summit Japan 2023”終了後に日本メンバーと共に(PagerDuty山田さん)

――ご自身の今後のキャリアをどのように考えていますか。

清水 私は、自分の心に正直に、今日を選ぶ、明日を選ぶって決めているんです。25歳の時には今のこの立場もキャリアもまったく想像できませんでした。でも、今日皆さんにこのお話ができるこの瞬間も、人生最高のポイントにいることは確かです。常に上昇を続けているので、今の私では絶対自分の未来なんて見ることができないと思っています。

準備はもちろんします。5年とか7年で自分の人生は変えられると思っているので、何かをやると決めて努力はしますけど、その時に「好き」で「得意」で「求められて評価されること」をきちんと組み合わせて、肩書きや会社名とかそういったことに縛られずに、その時のベストを選ぶこと。それができるだけの自信を持ち、努力を続けること。これが私の戦略であり、その時のための準備と考えています。

そして、将来の日本の、果ては世界のIT業界に関わる人のハッピーを増大させられるキャリアを『つくっていきたい』です。ここにドライブがかけられるような働き方のキャリアを、これからも模索していきたいと思っています。

山田 PagerDutyではプロダクトエバンジェリストの採用が決まり、コミュニティマーケティングへの取り組みを含め、今後もPagerDutyでエキサイティングな経験ができそうです。開発者向け製品を日本でどう立ち上げるかというノウハウが貯まってくると思うので、それを使ってまた意義のある仕事ができるチャンスがあればとも思いますし、もっと面白いポジションができたら、日本以外でも異動する可能性もあります。

立ち上げって面白いなと思っているので、何年後かにきちんと日本の支社が独り立ちして、後継者をちゃんと作って自走できることが確認できて、もしチャンスがあるんだったら、この経験を生かしてまた何か新しく日本で立ち上げをやれると面白いかなと思います。その時に僕にどこかで評価されるスキルが揃っているか、どんな領域に自分の役割を見出すか次第ですね。

(肩書きは取材時のものです)

New Relic主催年次オフライン最大イベント”FutureStack Tokyo 2023”終了後に日本メンバーと共に(New Relic清水さん)

この記事をシェアする

JAPAN CLOUD公式SNSをフォローして
最新情報を受け取る

  • LinkedIn
  • Facebook
  • Twitter

NEWSLETTERニュースレターに登録する

ニュースレターにご登録いただくと、最新の採用情報やキャリア説明会を定期的にメールでご案内します。

またキャリア情報以外にも、勉強会やイベントなどの情報を含め、海外のITトレンドやキーマンとのインタビュー記事など豊富なコンテンツをお届けします。