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Japan Cloudからのメッセージ、インタビューや活動内容などを発信しています。
企業戦略の論点はCloud・AI・APIへ|Kong SKOに参加して
Kong SKOに参加
こんにちは、鶴原です。Japan Cloudでは、昨年11月にAPIマネジメントプラットフォーム「Kong」の日本法人を設立しました。現在、この立ち上げをJapan Managing Directorとしてリードしています。
Kong、Japan Cloudと提携し日本法人を設立、グローバル展開を加速|Japan Cloud
APIは「アプリケーション・プログラミング・インターフェース」の略で、ソフトウェア同士の情報のやり取りをつかさどるインターフェースのことです。今日、インターネット通信の80%以上はAPIによるものと言われており、現代のデジタル化を支えるテクノロジーです。
Kongは年間で180兆ものAPIコールをさばく世界で最も利用されているAPIプラットフォームで、世界的にビジネスを急拡大させています。
2月末、アリゾナ州スコッツデールでKongのセールスキックオフ(SKO)が開催され、参加してきました。今回はSKOで共有された重要なポイントや、私自身の気づきを共有したいと思います。
企業戦略における論点:Cloud・AI・API
冒頭、Kongの最大級のお客様でもあるHSBC銀行CEOのコメントが紹介されました。彼は、今後の企業戦略においては、CloudとAI、そしてAPIが重要になる、という主旨の話をされていました。
日本でもデジタルトランスフォーメーション(DX)が叫ばれて久しいですが、「Every company is a software company」というマイクロソフトCEOのサティア・ナデラの言葉にもあるとおり、あらゆる規模/業界でDXが広がっています。その主な目的は以下のようなものです。
- 顧客体験の向上
- データ主導の洞察
- 業務効率の向上
- イノベーションと俊敏性
- グローバルリーチとスケーラビリティ
そして、デジタル化が進むにつれて、人間の身体における神経回路と同様、APIが接続の生命線になっていることを各企業は認識し始めています。このAPI網は複雑に絡み合うため、開発・運用・管理のあらゆる側面で最新のアプローチが求められます。そして、このことを理解したHSBCのような企業から、DXのレベルが向上しています。
DXを成功させるための戦略要件
KongはDXを成功させるための以下の戦略課題を解決できるよう、綿密に設計・開発されています。
- Time to Market(サービス開始までのスピード)
- TCO(オペレーションにおけるコスト効率)
- Security(リスク軽減 & セキュリティ向上)
- Dev Productivity(開発者の生産性向上)
- AI/LLM(最新AI/LLMの活用促進)
- API Productization(自社資産/データをAPIとして製品化)
DXを進めていく上では、上記課題に取り組みながらプロジェクトを推進していく必要がありますが、Kongは全領域においてポジティブな効果をもたらすプラットフォームであり、そのようなユースケースを数多く持っています。
本ブログでは、SKOの中でも特にハイライトされていた「AI/LLM活用」を中心にご紹介いたします。
AI/LLM活用を促進するAI Gateway
これまでの歴史を振り返ると、様々な需要の伸びによってAPI活用のレベルは爆発的に伸びてきました。今日、ここを牽引しているのは明らかにAIです。
AI活用が企業競争力に直結する時代が来ていることは異論ないと思いますが、闇雲にAIを利用するわけにはいきません。以下、4つの点を考えながら利活用していく必要があります。
- マルチAI活用(どのAI/LLMモデルを活用していくか?)
- AIコスト管理(どのようにAIのコスト管理をしていくか?)
- AIデータガバナンス(入出力データをどう制御するか?)
- AI利用ガバナンス(利用者にどうAIを使わせるか?)
こうした課題をAPI Gatewayレイヤーで解決するのが、SKO直前に発表した「AI Gateway」になります。AIに喰わせてはいけない機密情報がプロンプトに入っていた場合、自動でマスキング/ブロックをしたり、ユーザーのAI利用ボリュームをコントロールするトークンの流量制限、似たような質問/プロンプトが来た時にAIエンジンを使わず、キャッシュから回答する機能など、その内容は多岐にわたります。
[Kong(コング)、AIアプリ開発をAPIで実現、AI Gatewayをオープンソース版でリリース(抄訳版)]
※本ブログでは機能の詳細紹介は控えますが、ご興味ある方は鶴原、もしくはKong社までお気軽にご連絡下さい。
社内の生成AI活用:KAi (Kong AI)
SKOを機に、Kong社内でも生成AIの活用が正式にスタートしました。それがKAi(Kong AI)です。
これは営業組織向けAIで、例えば見込客とのコール内容やメール文面を投入すると、営業プロセスの中で確認が必要な項目を抽出してくれたり、そのためのキークエスチョン候補を提示してくれるなど、これから私も使ってみたいと思いました。
上図は、Kongの効果的アプローチをKAiに質問した結果です。Kong営業内で特に協調されている「3つのなぜ」に対する言及もあり、Kong社に最適化されたAIエンジンが動いていることが分かりますKongはお客様のAI活用をAI Gatewayで推進するだけでなく、自らAI活用の先端企業になろうとしていることがよく理解できました。
IPOに向けた3つの注力ポイント
今日、KongはIPOに向けてビジネスを拡大させています。SKO後半では、CFOからIPOに向けて必要な3つの注力ポイントについて、参加者全員の意識統一をするためのセッションが実施されました。
1. Gross Retention
上場して高いパフォーマンスを示し、成長を継続しているSaaS企業は基本的に95%以上のGross Retention Rate(総収入維持率)を維持しているそうです。Kongもこの数値をクリアすることが強く強調されました。このライセンス契約の維持率を高めるために必要なのが以下のポイントです。
- プロフェッショナルサービスのアタッチ
- 複数年契約の推進
- オンプレ → Cloudライセンスの拡販/移行
これはSaaS企業に勤めている方にとっては当たり前の話ではありますが、具体的に上場を果たした「Best in Class企業」と「Kongの現状」との比較と、具体的なターゲットについて現場に落とし込みが行われた点が印象的でした。
2. Cloud (Kong Konnect)
Kongの商用ライセンスには、オンプレ版のKong Enterpriseと、Cloud版のKong Konnectがあります。このKong EnterpriseとKonnectのライセンス更新率の比較データも提示され、Konnectの方がRenewal %・Retention %共に高いことがデータで裏付けられていました。
Kongは昨年末、全世界でのARR (Annual Recurring Revenue) が$100Mを超えたのですが、この時点での「売上に占めるCloud ARR比率」が、様々なSaaS企業との比較の中で語られ、具体的な目標の落とし込みがなされました。
3. Multi-Product
最後のハイライトは、我々はAPI領域の「プラットフォーマー」になる、という点でした。各カテゴリ勝者は常に「プラットフォーマー」であること。そのためには、単一ソリューションだけでなく、周辺ソリューションも含めたマルチプロダクト展開が必要である点が強調されました。
過去にIPOしてきたSaaS企業で、複数プロダクトを展開している企業と単一ソリューション企業によって、その後の伸びが異なる点がこちらもデータを元に共有されました。
日本においては、Kongはそもそも認知度を上げなければならないフェーズにありますが、仮に知っている方がいたとしても「Kong = APIゲートウェイ」という認識をされているケースがほとんどです。APIを開発するためのKong Insomnia、社内外API通信をつかさどるKong Gateway、サービスメッシュに対応したKong Meshなど、関連ソリューションを順次、拡販していく必要性を理解しました。とは言え、日本ではまずゲートウェイを中心に拡販していきます。
最後に 〜Kongの人・カルチャー
ビジネス的な側面の共有に終始したので、最後にKong社のカルチャーについて幾つか共有したいと思います。
サポーティブな本社エグゼクティブチーム
現在、日本法人の立ち上げを強力に支援してくれているHQのメンバーとブレックファストミーティングを持ちました。CMOのJuliette、Business Develpment SVPのKen、RevOps LeadのAndrew、そしてAPJ LeadのRichardになります。
皆、非常に協力的で今も2週間に1回の頻度でSyncする機会を設けていますが、日本のことを常に気にかけてくれて、まだ採用ポジションに応募するか決めかねている候補者に対して、カジュアル面談までしてくれる等、本当に助けられています。
日の当たりにくい社員を認め、サポートする文化
どの外資SaaSでもあると思うのですが、Kong SKOでも優秀社員の表彰が行われていました。これ自体は驚くことではないのですが、私が2つ関心したのは、日の当たりにくい社員にしっかりとスポットライトを当てる気配りがされている点でした。
一つにはまだ入社半年しか経過していない、インド法人のAmitを「ルーキー・オブ・ザ・イヤー」としてハイライトしていた点です。彼は入社早々、インドの大型金融機関の案件をCloseしており、授賞に相応しい成果を残したこともあるのですが、それ以上の大々的な取り上げ方だった印象があり、そのおかげで彼自身の周りにも人が集まっていましたし、私自身もSKO後に彼も含め、野球を見に行き、その際に金融機関アプローチのTipsを教えて貰いました。
二つ目には、日本でも大変にお世話になっているExecutive AdminのKelly、そしてLegalチームのEdwinという「縁の下の力持ち」的な役割を担っているメンバーをMVPとして表彰していた点でした。これは非常に驚きました。SKOではどうしてもTop AEに目が行きがちですが、こうした場でもそうした人への感謝を忘れないKong社の姿勢が素晴らしいな、と感じました。
私もこの業界は長いですが、「いかに企業のCloud化を推進するか?」と言っていた時代はもはや終わりを告げ、議論の焦点はAI、そしてそれを活用していくためのAPIに移っていることを痛感したSKOでした。APIという神経プラットフォームを強化することで、さまざまな外部環境の変化に対応できる、しなやかで強靱な組織を作っていこうとしている先進事例の話も数多く聞くことができました。
最後になりますが、Kong Japanでは今、立ち上げメンバーを絶賛採用中です!API領域、そしてKongにご興味を持っていただいた方、まずは「カジュアルに話を聞いてみたい」ということでも構いません。是非、ご連絡下さい。
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