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イベントレポート

自分の会社に最適な「THE MODEL」を見つける|丸紅ITソリューションズ様

著者:橋本 智子

こんにちは。Japan Cloud マーケティング 橋本智子です。

先日の富士通様向けに続き、この度、丸紅ITソリューションズ様にご縁をいただき、弊社代表福田による「THE MODEL勉強会」を実施しました。当日はオンラインで80名以上にご参加いただきました。

本セッションの目的は、「独自にガラパゴス的にセオリーを身につけてきている(同社談)」チームメンバーに対し、日本のSaaSビジネスリーダーの価値観に触れ、共感と新発見を体験すること。また社内の一体感を維持し、この先の事業拡大と分業制の徹底につなげること。

「THE MODEL」を読んだことない人にも分かるように一問一答形式で内容をレポートします。ぜひご一読ください。

著書「THE MODEL」はどんな人向けに書いた本?

(福田)2017年頃に何社かのお客様と話していると組織体制や商談ステージの考え方などSalesforce社のやり方をそのまま採用している会社が多いことに気がついたのがきっかけ。自社の商材、ターゲット企業、会社のステージが異なるのに同じやり方を当てはめてうまくいくはずがない。全ての会社に当てはまる型のようなものはないが、海外のSaaS企業では当たり前となっている組織体制がなぜ誕生したのか、その背景をストーリーで説明すれば理解してもらえるのではと思って執筆した。当初はそれら少数の企業だけを念頭において書いたので、業界外の人にまで広く読んでもらえる本になるとは考えていなかった。

THE MODEL」を読んだことがない人にどんな本か全体像を教えてください。

(福田)マーケティング、インサイドセールス、営業、カスタマーサクセスというSaaSの組織体制、その成り立ち、Salesforce社やMarketo社で経験したことを自身の体験を中心に書いた本。

  • 2000年頃、SaaSの登場によって大きく変わったのは顧客層の変化。それまではIT予算や人員が豊富な一部の大手企業しか購入できなかったソフトウェアを、個人事業主から大企業まであらゆる規模の企業が利用できるようにした。またウェブを中心としたデジタルマーケティングの登場でリード獲得が容易になった一方、それらを営業が一件一件フォローしたり、マーケティングがマスメールでフォローするのは限界があった。またSaaSでは売り切りではなく、導入後に成果を挙げ、継続的に利用してもらう事が重要で、導入・活用支援に専門性を持つリソースの重要度が高くなった。このような背景からそれまでの先発完投型営業から、専門性を持った役割分担の組織体制が誕生した。
  • 顧客行動や世の中の情報が変わるとおのずと自分たちの体制も変えなければならない。リソース配分をどうするかは、会社の外と中の環境次第で変わるもの。 「THE MODEL」で紹介しているストーリーはSaaS黎明期の一事例に過ぎない。背景を伝えることにより『自分の会社に最適な「THE MODEL」を見つけてください』という本。

THE MODEL」の反響を教えてください。

(福田)想定外に多かったのは日本の大手企業からの関心。

  • 当初はSaaSに関わっている人の一部しか関心を示さないだろうと思っていたが、実際は日本の大手企業から問い合わせを受ける事が多い。日本では、一人の営業が、ゆりかごから墓場までお客様を担当し、事業拡大に伴い人を増やす会社が多い。しかし人を増やすにつれて能力や経験にばらつきが出てきて、ベテランは経験でこなせるが新人は同じレベルの仕事はできないなど必ず歪みが出てくる。また既に売上が大きい既存顧客にばかり人を投入し、新規市場の獲得を怠った結果、成長が止まってしまう。製品が増えた場合に営業が常に全製品の専門性を持つべきか、専属担当をつけるべきかなど組織が大きくなればなるほど課題が出てくる。そのような状況で、分業制や役割分担にヒントを得ようとしている企業が多いのではないか。

事業戦略の策定で重要視していることは?

(福田)ターゲットカスタマーの絞り込みが重要。

  • 「THE MODEL」を斜め読みした人は、リードを広く獲得して、インサイドセールスで見極めるといった網を掛ける手法だと勘違いしている人が多い。そのようなやり方では一時的に成果が出ても、すぐに成長が止まってしまう。最も大事なことはターゲット企業の絞り込み。それが明確になることによって、初めてマーケティング戦略や営業体制、導入後の顧客支援体制や人材のプロファイルが決まる。
  • SaaS企業において特に重要なのは「売りやすい企業」ではなく「理想的に使ってもらえる企業」こそがターゲット。そうした企業は継続率も高く、素晴らしい事例ができ、新たな顧客獲得に繋がる。

組織のカルチャーをつくる際に意識していることは?

(福田)カルチャーは途中で変えられない。

  • カルチャーとは行動パターン、思考回路、価値観などの集合であり、会社においてはそれが日々の仕事に現れてくる。意識しようとしていまいと、組織の中ではそれが暗黙の了解のように存在している。それは組織ができた時から積み上がって作られるものであり、途中からは変えられない。初期の採用が一番大事。リーダーが考える価値基準を持ったを集めること。

営業マネージャーの時代はどんなマネジメントをした?

(福田)営業の行動と結果のパターンを冷静に観察した。

  • 営業を経験することなく、営業マネージャーになったことが幸いしたと思う。自分に営業経験がないため、まっさらな気持ちで「そもそも営業とはどういうものか」を冷静に観察することができた。気づいた事は「こういうタイプの営業が成果を上げる」という明確な型はないこと。成果を上げる営業の共通点はいくつかあるが、そのスタイルは千差万別。トップ営業がマネージャーになると自分のやり方や成功パターンを押し付ける人が多い。自分には営業の成功体験がない事が逆によかった。

リーダーとして努力したことは?

(福田)チームの方向性を結集すること。そのために言葉の力は大事。

  • 良いチームというのは、お互いを思いやる、気にかけるなど社員同士に関心の矢印が向くのではなく、全員の目指す方向の矢印が一致している。チームの方向性を結集することがリーダーにとって重要。そのために必要なのが、ビジョン、ミッション、バリューであり、自分たちがそこに向かっている事を繰り返し伝えて理解してもらうために言葉の力は大事。

若い人を教育する場合に重要なことは?

(福田)採用の基準が重要。教育は座学と実行の二本立て。

  • そもそも採用の基準が重要。
    • 経験より興味を重要視する。興味があれば経験がなくとも覚えていく。面接では、スキルや経験より、何に興味があるのか、またその原体験は何かをきく。モチベーションや土台があれば驚くほど成長する。
  • 教育のためには、座学と実行の二本立てが重要。
    • 座学はもちろんのこと、営業であれば訪問に同行しその場でフィードバックすることが大事。また自分でやってみせること。それの繰り返し。

中間管理職(課長級)へのアドバイスは?

(福田)1st Line Managerと呼ばれる現場担当を直接束ねるマネージャーが会社の強さを支える。

  • 組織の上位役職者は全社の視点で中長期の事に目を配らなければならないが、現場の日々の実行を支えるのは最も現場に近い1st Line Managerの存在。この教育に力を注げば、現場が強くなる。やってはいけないことは、適切な教育・サポートや適正があるかの判断もなく、「マネージャーが足りない」「本人が希望している」事を理由にリーダーに上げてしまうこと。

外資系だと短期業績を求められるのでは?

(福田)短期と中長期を両立することが求められる。

  • 外資系では短期的な成果を求められることが多いのは事実。
    • Marketoの日本支社立ち上げ時代、本社はすぐに売上を上げるためにも今すぐ動ける営業を採用したいという方針を出してきた。しかし、中長期の視点で考えれば、導入後を支援するポストセールス部隊や各部門のマネジメントができる人を採用する方が重要度が高いと考え、本社と交渉して人員計画を認めてもらった。
  • 中長期な視野で環境を作れるかが成功の要因となる。それこそがJapan Cloudの優位性。
    • Japan Cloudでは、8-10年の中長期的で運営するジョイントベンチャーとして共同経営する。はじめの2-3年は土台作り、それができれば飛躍的に事業は拡大する。

過去の自分or若手にアドバイスするとしたら?

(福田)過程を楽しむこと。知識を横に広げること。

  • 結果だけを求めずに過程を楽しむこと。
    • 自分は将来の目標を決めて動いてきたわけではなく、目の前にある仕事に全力で取り組むことで自然と今の道程になった。キャリアについて相談を受けると、「カントリーマネジャーになるための最短距離は?」というような質問をいただくことが多い。成功している人で「若い時に描いていた目標から逆算して最短距離で進みました」という人はあまり聞いたことがない。そもそも人生の過程で価値感も変わればやりたいことも変わるのが普通。結果だけを求めずに、今やっていることを楽しむ余裕を持つこと。
  • テクノロジーの知識を横に広げること。
    • IT業界に25-6年いて面白いと思うのは、あるタイミングでゲームのルールがガラッと変わること。他の業界ではもちろん一定の変化はあるものの、ガラッとプレーヤーが入れ替わることはあまりない。さまざまなテクノロジーが出てくるのはこの業界の面白いところ。ただテクノロジーといっても領域が広く、自分は一つの会社に長く在籍することが多かったのでまだキャッチアップできていない領域がたくさんある。今はJapan Cloudで幅広い領域を見ているので、これからも日々勉強しようと思っている。今後のITの変化の節目を経験すると、さらに面白い。

丸紅ITソリューションズの皆様、ありがとうございました!

(右から)
丸紅ITソリューションズ ソリューション事業本部 事業本部長 奥山 重宏様
ジャパン・クラウド・コンサルティング 代表取締役社長 福田 康隆
丸紅ITソリューションズ 代表取締役社長 德田 幸次 様
丸紅ITソリューションズ ソリューション事業本部 副事業本部長 林 修好 様

*企業名・役職は、2023年2月当時のものです。

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