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Japan Cloudからのメッセージ、インタビューや活動内容などを発信しています。
日本進出の哲学とJAPAN ClOUD創設の秘話(2/3)

Special Interview – Allen & Aruna
海外のB2B SaaSの分野において急成長しているテクノロジー企業と相互出資して日本法人を作る事業を行ってきたJAPAN CLOUD。そのチームには、IT業界を牽引してきた実績を持つメンバーが揃っている。
今回はJAPAN CLOUDを創設したアレン・マイナー氏とアルナ・バスナヤケ氏に、福田 康隆氏がスペシャルインタビュー。
JAPAN CLOUD創設から今後の展望まで、その哲学や実績について訊いた。
目次
アレン マイナー アルナ バスナヤケインタビュー Page1
- 長期的にコミットしていくJAPAN CLOUDの投資スタイルの原点とは
- 日本進出を支援する3つの哲学
アレン マイナー アルナ バスナヤケインタビュー Page2
- 社長経験や語学力ではない日本法人の社長に求める資質とは
- “日本法人の社長が意思決定できる” JAPAN CLOUDだからできることとは
アレン マイナー アルナ バスナヤケインタビュー Page3
- JAPAN CLOUDのストラクチャーのユニークネスとは
- JAPAN CLOUDの今後の展望とは
- これからJAPAN CLOUD関連会社の社長や社員を目指す方へ
社長経験や語学力ではない日本法人の社長に求める資質とは
福田
日本法人と本社がしっかりコミットし続けるためには、日本法人の社長の資質が重要になってくると思います。お二人がこれまで見てきた社長の特徴や、こういう人が成功した、あるいはこんな改善点があったということをお伺いできますか?
アルナ
非常に難しい質問ですね。ロボットならスペックで選べますが、人間はそうはいきませんから。そうはいっても私もアレンも長年、いろいろな社長と日本法人の立ち上げをサポートしてきましたし、JAPAN CLOUDになってからは、福田やコンサルティングディレクターの千葉が入り、社長に求める資質が具体的に見えてきていると思います。
典型的な外資系の日本法人の社長には、ある程度年齢を重ねていて、ネットワークを築いてきた人。または若くて社長経験はないけれど、英語が堪能でアメリカ的な思考を持っていて、本社と同じ言語で分かりやすく話すことができる人が多い気がします
しかし、私たちはネットワークの有無や、英語力は重視していません。JAPAN CLOUDで一緒に日本法人を立ち上げていく人に求めることの一つは、コーチャビリティです。
私たちは10社以上、合弁会社を形にして成功させている実績を持っています。またJAPAN CLOUDの関連会社には、それぞれに日本法人をゼロから立ち上げた先輩方がいます。マルケトを立ち上げた福田もそうだし、コンカーの三村 正宗(みむら まさむね)もそうです。
こうした経験で得てきたノウハウを、JAPAN CLOUDと一緒にやっていく社長にはシェアしたいと思っています。ですから、ノウハウを吸収して活用してさらに飛躍できる人、そういうコーチャビリティを大事にできる人に社長になってもらいたいですね。
もうひとつは「営業部長」ではなく「最高経営責任者」として考えることができる人です。ビジネスを始めるうえで“ Go to Market ”はもちろん大事です。そういう意味では、営業やマーケティングが分かる人が適任だと思うかもしません。しかし、営業だけでなく継続的なポストセールスも考えていかなければなりません。
だから“ Not sales leader, but as a CEO ”だと思うんです。
アレン
付け加えると僕のなかではもう一つあって、社長経験がある人はあまり求めていないんです。なぜかというと、有能な社長であれば、いまの会社をやり続けて業績を伸ばしていくほうがいいはずでしょう?だから、社長経験者で仕事を探している人は、非常に厳しくみないといけないと思っています。
しかし、社長経験者でも成功する人材はいます。例えば、どこか良い会社で経験を積んでから起業して、それなりに成功した人です。そういう人はゼロからのスタート経験を持っているので、さまざまな立ち上げの課題や課題解決ノウハウを持っているでしょう。
社長経験がなくても、これまで成功したコンカー、マルケト、キリバなどの社長の場合は、成長企業の初期段階からキーポジションを経験していました。そういう人が社長になると、とても動きがよく判断が的確でした。
また、新卒で入った会社に10年以上在籍していて、そのなかで早いペースで責任のある役職に昇進し続けている人も魅力的です。そういう人は、一緒にやっている人たちから高く評価されて、責任の範囲を広げていっていると思います。一つの会社、チーム、商品に対するコミットメントができている。私が会いたいと思う人はそういう人です。
一つの会社で成長し続けてきて「自分が社長になったらどこまでできるんだろう?」とパーソナルチャレンジをしてみたくなった人はいいですね。福田のレジュメを見たとき、「最高だ!」と思いましたよ(笑)
最近、私たちが日本法人の立ち上げを支援したコンカーが10年経って、株を本社に売却したのですが、コンカーの三村は10年やっても「まだやりたい」と言ってくれています。できる社長は、社員との関係、顧客との関係を大事にしているから、やり続けているのだと思います。
アルナ
コンカーの事例もそうですけど、私たちは短期的ではなく10年一緒にやりたい人、会社が成長して大きくなるまでやり続けられると思える人を求めています。10年頑張ったその先には、金銭的な報酬も大きく得られますが、何よりも「大きな会社を作り出した」という誇りが持てると思います。
アレン
アルナから合弁会社の企業評価の資料をもらいました。評価に関してもたくさんの議論を重ねた結果、最終的にIPO時には売却せず、さらに7年間パートナーシップを継続することができました。これは幸いなことでした。もし、短期間で売却されてしまっていたら、一緒に日本法人を立ち上げるプロセスに関わるチャンスを逃していたでしょう。
福田
いまのJAPAN CLOUD関連会社の社長を考えてみると、アレンやアルナの基準にあてはまっていることが分かりますね。
~社長に求める人材とは~
- コーチャビリティを大事にできる人
- 「営業部長」ではなく「CEO/最高経営責任者」として考えることができる人
- 一つの会社で成長し続けてきて、パーソナルチャレンジをしてみたい人
- 一つの会社やチーム、製品に長いコミットメント経験があり、評価されてきた人
- 長期的に一緒にやりたいと思える人、会社が大きくなるまで続けられる人
“日本法人の社長が意思決定できる” JAPAN CLOUDだからできることとは
福田
私自身、初めて社長をやった際は知らないことが多くありました。例えば「社長」の位置づけです。「カントリーマネージャー」や「CEO」という言い方もありますけど、多くの外資系日本法人では、社長は最高経営責任者というより営業の責任者という位置づけになっている会社が多いですよね。
しかし、JAPAN CLOUDの社長は、本当に最高経営責任者として会社の全てのファンクションを見ていくことが仕事です。しかも、取締役会を運営していく役割は、マルケトに入って初めて学ぶことができました。そもそも取締役会の本来の意味を、それまでしっかりとは理解できていなかったのです。
取締役会は、日本法人がガバナンスを効かせていくためにも非常に機能しています。アレンとアルナは全ての会社に取締役として入っていますが、どういった観点で関わっているかをお聞かせください。
アルナ
日本法人の取締役会に参加して特に注力していることは、日本チームのサポートです。事前に本社と直接さまざまな調整を行うことで、本社に対する要求を整理したり、日本独自の戦略を説明したりするなど、日本の社長をバックアップすることが私たちの一番大きな役割です。
私たちには、取締役会のメンバーを決めるベストプラクティスがあります。取締役会に本社の社長、CFO、製品責任者、営業責任者などCXOレベルの人が参加するようにすることです。また、取締役会以外でも、これらのCXOレベルの人たちと日本の社長が対話できるようにします。
公式・非公式で課題を共有することで、日本の社長も製品のロードマップに影響を及ぼすことができたり、本社に必要なリソースを要求できたりします。CXOレベルの人として日本の社長もアクセスできるようになるので、相当パワフルな場になるなんですよね。
アレン
外資系企業が日本に入ってくるとき、最初に意識するのはやはり営業です。日本で法人を立ち上げる目的は、日本で商品を開発したいわけではなく、日本で顧客を獲得して市場を拡大したいからです。しかし、そのせいで一般的な外資系企業の日本法人では営業が優先されがちで、社長も営業の責任者という位置付けになりがちなのです。
そして、組織が大きくなればなるほど、カスタマーサポート部、コンサルティング部、マーケティング部それぞれがバラバラに本社やAPACにレポートするサイロ型の組織になってしまい、日本国内では誰も総合的な意思決定ができないというケースが非常に多いんです。
そもそも、なぜ私たちが名前だけでなく本来の意味でのCEO、社長にトップに立ってもらいたいのかというと、「その国について全ての判断は、その国の社長ができるようにして、マーケットに適切で速い意思決定を反映できるようにする」という形にしたいからです。これは私がオラクル時代に国際部門で上司から教わった経営哲学から来ています。
そのためには「各国のリーダーがその国の市場において尊敬される優秀な社長であること」が大前提です。日本の日々のオペレーションを完全に任せられる有能な人でないといけないんですね。
そのうえで、日本の社長がタイムリーに素早く全ての様子を取りまとめ、顧客に適切な営業活動やサポート、コンサルティング活動を自分の管理下でやれる状態にしておかないと、全てがスローダウンしてしまい、場合によっては間違った対応をしてしまうのです。
つまり、エンパワーされた優秀なリーダーを置いたほうが、国際ビジネスは早く立ち上がります。
JAPAN CLOUDでは、合弁会社を作る前に、本社の経営陣が「日本法人の社長を信頼して経営を任せる」という意識を持ってくれるかどうかを確認しています。
この総合的な判断、ビジネス全体を日本法人の社長に任せるという哲学が、セールスフォース・ドットコムでも、コンカーでも、マルケトでも早期の成功につながった要因だと考えています。
福田
いまの話は非常に重要だと思います。私自身もマルケトで経験しましたが、社長の立場からすると、どうやって社員のアライメントを取るかはすごく大事なんですね。
日本の顧客を見て戦略を立てるためには、組織を一つにすることが重要です。しかし、レポートラインがバラバラだと全員の意思統一は難しくなってしまいます。一般的な外資系企業では、日本のマーケティングは本社のマーケティング部門にレポートする、パートナー部門はAPACの上司にレポートする、というレポートラインになりがちです。
アレンが話したように、日本に進出する目的は、顧客獲得による売上の向上です。だから、売上が小さい段階だと営業以外の優先順位を上げることが難しいんです。
しかし、JAPAN CLOUDのように本社の経営陣とつながる取締役会があれば、短期ではなく、中長期的な視点で日本の成長につながることを優先すべきと、経営視点で本社と会話ができます。このことは実際に社長をやってみて、本当に重要だと実感しましたね。
アレン
SAPがコンカーを買収したあとも、「日本法人は合弁会社のままでやりましょう」と本社の社長が決めてくれました。だからコンカー本社がSAPに買収されてから6、7年経ったいまも、変わらず三村が指揮を取り、コンカージャパンとして独立した立場(※1) でこれまで通りの経営ができているのです。
(※1:2020年8月25日に本社に売却済み)
For general inquiries, please email info@japancloud.co.jp ↗
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