年頭所感

あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
昨年、米国で多くのGTMリーダーや経営陣と対話する中で、生成AIがすでに実験や話題のフェーズを越え、実装と運用の差が企業の競争力を分ける段階に入っていることを強く感じました。2026年は、その差が売上や生産性、さらには組織構造の違いとして、より明確に可視化され始める年になると考えています。
重要なのは、AIをどの業務に、どの順番で組み込み、どのように運用し、成果に結びつけるかという点です。PoCの数や派手さではなく、データ、プロセス、ガバナンス、人材を含めた実装の総合力が問われる局面に入りました。短期的には投資対効果が見えづらい取り組みもありますが、中長期では企業の競争力そのものを左右する変化になります。
こうした流れを象徴する出来事として、昨年、元Marketo CROで、現在はBattery VenturesのOperating Partnerを務めるBill Binchと会話する機会がありました。彼が強く意識していたのは、「自分はSaaS時代の人に留まりたくない。AIの時代にも中心であり続けるために、自らをアップデートし続ける。」という姿勢でした。Billは投資先か否かに関係なくGTMリーダーのネットワークに声をかけ、ラウンドテーブル形式で、AIをオペレーションに組み込み、実際に成果を上げているベストプラクティスを参加者同士で共有する場を継続的に作っています。AIの進化はテクノロジーの話であると同時に、私たち一人ひとりの学び方や働き方そのものを問い直すものだと、改めて実感させられました。
日本でも、こうした実務家同士の知見が交差する場が、これまで以上に重要になると考えています。Japan Cloudに求められる役割は、次の何かを見つけることだけではありません。それを正しく日本に伝え、正しく普及させ、成果が出る形にまで落とし込むための人材と仕組みを提供することです。どんなに優れたテクノロジーや製品があっても、優れた人材、オペレーション、経営が伴わなければ、成功は再現できません。
2026年は、顧客企業の幹部・リーダー向けのラウンドテーブルの内容を、さらに進化させていきます。Japan Cloudは現在11社の関連会社と長期にわたり関わっており、それぞれが異なる市場、顧客、成長フェーズで事業を展開しています。各社のCEOが来日する際には、自社製品の紹介にとどまらず、市場全体を俯瞰した視点や、現場で得られた実践的な知見を共有してもらい、日本企業の皆様と率直に議論する場を設けていきたいと考えています。単一のソリューションではなく、複数の企業に関わっているからこそ提供できる視点は、Japan Cloudならではの価値です。
人材の観点では、これまで継続的に取り組んできたJapan Cloud関連会社向けの育成プログラムへの投資を引き続き行っていきます。昨年下期に実施したEmerging Leadership Development Programでは、異なる企業・役職の参加者が集まり、戦略策定やリソース配分、意思決定の背景について議論を深めました。企業や役割が違っても、リーダーが直面する課題には多くの共通点がある一方で、プロダクト特性や成長フェーズによって最適な戦略や組織設計が大きく異なることを、参加者自身が実感する機会となりました。
また、軽井沢で開催したJapan Cloud Leadership Summitでは、関連会社各社の経営者やリーダーが一堂に会し、市場創造や組織のスケールといったテーマについて率直な議論を行いました。High Potential Leadership Programを通じた越境学習の場では、会社の枠を越えた対話やフィードバックを通じて、単一の企業の中では得られない視点や気づきが生まれています。こうした学びの循環こそが、Japan Cloudがプラットフォームとして果たすべき価値だと考えています。
2026年は、これらの取り組みをさらに一歩進め、Japan Cloud関連会社の枠を越えて、社外のGTMリーダーや実務家とも交差するラウンドテーブルや勉強会を企画していきます。学びを閉じた組織は遅れ、開いた組織は進化します。AIという大きな変化の波に向き合う今だからこそ、実務に根ざした知見を持ち寄り、再現性のある形で共有していく場づくりに、これまで以上に力を入れていきます。
本年も新しい試みに挑戦していきますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。



